株式投資型クラウドファンディング「ユニコーン」で募集が始まっている、「プリベントサイエンス社」の案件についてです。
今回は、内容を調べて見た結果としての懸念点と期待点をまとめました。
最後にまとめますが、「長期的には技術に期待、足下状況は懸念」と言ったところでしょうか。
<目次>
前回の紹介
前回の紹介においては、プリベントサイエンス社の案件情報に関する概略をまとめました。
記事はこちらになります。
「withコロナ」をキーワードにし、PCR検査など話題性は十分の予防医療ベンチャー。
ただし、残念ながら懸念点も多く見つかってしまっています。
懸念点その1:財務状況
まずはプリベントサイエンス社の財務状況。
こちらは債務超過の状況です。もっともこれはベンチャー企業においては大きな問題にはならないと思います。
(資本金100万円に対して利益剰余金9000万円、うち登記純損失で4900万円)
それより気になるのは、プリベントサイエンス社の親会社「プリベントメディカル社」。
こちらの財務状況は、資本金9.2億円に対し、利益剰余金-17.6億円という大赤字状態とさらに輪をかけて厳しいものになっています。
売上高に対する売上原価は悪くないのですが、販管費が売上高の2倍近くあるというのは構造上の問題があるように思えてなりません。
懸念点その2:バリュエーション
プリベントサイエンス社の資本金は100万円ですが、発行済み株式数が2万株。
今回の募集株式が1株5万円ということは、株式投資型クラウドファンディング募集前のプレバリューは実に10億円です(20,000株×50,000円)。
プレバリューの計算方式はDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法や純資産から計算する方式がありますが、まず純資産については現状マイナスなので除外。
DCF法で計算するには色々情報が足りませんが、
ここではFCF(フリーキャッシュフロー)の計算で法人税率30%・減価償却費=設備投資額、運転資本増加額ゼロ、DCF割引率5%と超ざっくり仮定して計算します。
プリベントサイエンス社の事業計画は上記の通り。この営業利益からFCFを計算してプレバリューを出します。
すると、5年までのプレバリューで7.3億円となり、10億円には達しない(つまり、企業価値を過大算出している?)可能性があることが分かります。
懸念点その3:警告書
もう一つの懸念は、プロベントメディカル社の社長である「久米 慶氏」の経歴。
久米氏の経営していた「プリベントホールディングス社」において、有価証券の募集を無届けで行っていた旨の警告書が2015年に発出されています。
会社、特に黎明期の会社において全てのルールを遵守するのは難しいというのは理解しますし、一度警告書を受けただけで事業全てを頭ごなしに否定することには賛同できませんが、事実は事実です。
期待点その1:がんの早期発見
このように足下では色々懸念点もありますが、一方で将来の技術については期待も持てます。
一つはがんの早期発見。
尿によるがんの早期発見というのは何も突拍子も無い話ではなく、例えば嗅覚に優れた線虫が、がんの匂いに引き寄せられることを利用した検査というものもあります。
また、がんに特異的なポルフィリン蓄積というメカニズム(こちらが、プリベントサイエンスの技術にも使われています)を用いた診断・治療法も実在しています。
期待点その2:PCR検査
PCR検査は新型コロナで一気に脚光を浴びた感がありますが、実際は遺伝子増幅技術のこと。
新型コロナだけではなく、がんの遺伝子異常やウィルス感染が疑われる場合、ある特定の遺伝子だけを選択的に増やして検査をしやすくする技術です。
PCR検査はウィルスなどを増幅させるという性質上、検査担当者の感染リスクが無視できず、登録された拡散検査実施施設でしか行うことが認められていません。
プリベントサイエンス社はこの登録施設として認められており、がんの遺伝子異常検査、もしくは今後懸念されている新型コロナの第2波など、潜在的なビジネスチャンスはあると推測されます。
まとめとキャンペーン情報
以上がプリベントサイエンス社に関する情報のまとめです。
技術としては将来性も収益性もあるだけに、足下の状況や懸念点が目立つことが残念に思われます。
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