不動産投資型クラウドファンディング「ASSECLI(アセクリ)」の話題です。
エボルゾーン社が運営するクラウドファンディングから、まさかの利率をひっさげて久々の新案件が登場。
内容を紹介します。
<目次>
運営母体の情報などをおさらい
不動産投資型クラウドファンディングを簡単に言えば、以下の条件を満たしている投資商品です。
・不特定多数からネット経由で資金を集め
・その資金で不動産に投資し(*不動産を直接所有するわけではない)
・同案件に事業者も投資する優先劣後構造で、投資家の出資金を保全する
ASSECLIもこの通りのサービスで、これまでに2つのファンドを募集し、今回が3つめとなります。
事業者の特徴や実績、財務情報などについては、下記の記事をごらんください。
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8%→4%→そしてまさかの・・・
ASSECLIで最初に募集された案件は、利率8%・6ヶ月という破格の条件。
どこかで無理をしているリスクのある案件なのでしょうが、これは単にオープニングセールなのだろうと私は解釈しています。
その証拠に、2号案件は4%、6ヶ月と、REITと比較しても無理のない利回りになっています。
(不動産投資型の利率は融資型とは少し考え方が異なりますが、いずれにせよ「妥当な利回り」というのはあるわけで、それを大きく上回るのは何らかのリスクがあるべきだと考えます)
そして3号案件ですが、これがびっくり。8%案件がまた登場しました。
・埼玉県草加市#3ファンド
募集開始:8/7 12:00~
予定利率:8.0%
運用期間:3ヶ月
募集金額:1,600万円(1口1万円)
備考:先着順、資金は案件申し込み後の振込
なぜ8%? と思ったのですが、よく見れば内容は「1棟木造アパート・バリューアッププロジェクト」。
木造物件のリノベーション案件であれば、この利率がでていてもおかしくはないと思います。
リスク(不確実性)について
ともすると8%という利率だけに目が行ってしまいがちですが、リスク(不確実性)や表に出てこない情報もしっかり確認する必要があります。
まず第一のリスクは、8%という利率が本当に実現するかどうか。
対象の物件は8戸分あり、このうち3戸が空き部屋とのことです。
リノベーションにより価値が上がり、入居促進や家賃UPにもつながれば、おそらく不動産市場で高値で売却できるでしょう。
ということはつまり、失敗すればこの逆の事が起こる可能性もある、ということです。
(この物件はもともと相場と比較して賃料が安いとのことなので、その分は加味して考える必要がありますが)
このリスクを軽減するのは、優先劣後出資の仕組みです。
本案件にはASSECLIが全体の20%を劣後出資し、万が一売却時に損が出れば最初にASSECLIの資産が損害を受けます。
運用期間が3ヶ月ということで売却の目処はある程度ついていると推測され、20%の劣後出資と合わせて考えれば、出資の安全性はそこそこ担保されているのではないか? というのが私の考えです。
実際の利率も確認しましょう
もう一つ確認しなければならないのは、資金の拘束期間と実際の利率。
貸付型クラウドファンディングではあまりないのですが、不動産投資型クラウドファンディングでは時々、運用期間以外の資金拘束期間がかなり長い事業者があります。
例えば今回の案件は、こんな感じです。
おそらく案件は即日で埋まるでしょうから、資金拘束は8/7から始まります。
ファンドの運用期間は8/28~11/27の3ヶ月で、この間が金利(年利8%)が付く部分。そして実際の配当(資金拘束解除)は12/22。
つまり運用期間の前に21日間、運用期間の後に25日間、合計46日間の拘束期間が存在します。
この分を補正すると、本案件の利率は8%→5.3%となります。
不動産投資型クラウドファンディング、特に運用期間が短い場合、運用期間前後の拘束期間によっては実質利率が大きく変わってしまうことは注意すべき点であり、かつ事業者には改善してもらいたい点と思います。