株式投資型クラウドファンディング(ECF)の話題です。
ECF事業者「ユニコーン」から、第9号案件が登場。
今回のキーワードは「自然言語処理」で、大化けする可能性を秘めた事業者です。内容を紹介します。
<目次>
会社名は「ディビイ(dbE)」
今回募集を開始する事業者は、ITスキルを要しないデータ活用環境を提供する「ディビイ(dbE)」社。
誰もがAIを活用することで、高度なデータの分析処理などを行える社会の実現を目指しています。
その核となるのが、「自然言語処理」。
自然言語とは、通常私たちが書いたり話したりしている言葉(日本語でも英語でも、言語に関わらず)のこと。
対義語はプログラミング言語であり、この二つを分ける壁は「言葉の曖昧さ」です。
自然言語の曖昧さとは?
上記サイトでも解説されていますが、自然言語をコンピュータで処理しようとする場合の壁は、意味の曖昧さです。
「黒い目の大きい少女」
と言われた場合、言葉としては少なくとも二通り、「目が大きくて、肌が黒い少女」or「目が黒くて、体が大きい少女」の解釈があります。もしかすると、「黒い、大きな目の少女」という意味もあるかもしれません。
一方でプログラミング言語であれば、こういった曖昧性はなく、言語の意味は一つのみの解釈になります。
コンピュータやAIは原則として、プログラミング言語の世界の住人。だからこそ人間の使う自然言語は曖昧性が強く、意味を正確に取るのは難しくなります。
そしてディビイ社は、この自然言語処理に大きなアドバンテージを持つ事業者です。
ディビイ社のサービスと実績
ディビイ社のフレームワークは、「rodanius(ロダニウス)フレームワーク」という名前が付いています。
この中で注力していくのは、「rodanius for Pharma / for Fintech」と「rodanius for Knowledge / AIモコ」の二つ。
それぞれ、以下のような利用方法となります。
・rodanius for Pharma / for Fintech
文書突合ソリューション(情報量や質が異なる文書間の正誤判定)
→製薬業界、金融業界など
・rodanius for Knowledge
ナレッジマネジメントソリューション(自然文による質問から回答を探す次世代型検索)
→コールセンター、マンション・オフィス管理業務
特に「rodanius for Pharma」は、現時点で製薬業界において原文書群と申請文書間の齟齬チェックを行うことができる、唯一のAIソリューションとなっており、差別化もされています。
バイエル薬品主催「G4A Tokyo 2019」で、この製剤設計効率化ソリューションが採択されたことから、その実績のほどは知ることができると思います。
募集要項とDCF法によるバリュエーション計算
ディビイ社の株式投資型募集要項は以下の通りです。
・ディビイ社
募集開始:10/9 18:00~
申し込み金額:10万円~50万円(10万円刻み)
目標募集額:3,000万円
上限募集額:8,000万円
募集価格は1株あたり50,000円、発行済み株式数は18,120株。
募集開始前の会社時価総額を示すプレバリューは、50,000×18,120=9億600万円です。
これに対して、ディビイ社のここ5年の経営計画は下記の通り。
DCF法(*)によるバリュエーション計算(割引率10%、永久成長率0%)では、5年目までのDCFは2,653万円、ターミナルバリューは31.5億円となっています。
(*DCF法:割引キャッシュフロー法。企業価値算定手法の代表格。ただし将来の経営成績に大きな不確実性があるベンチャーの場合、あくまでも参考値)
5年目まででは会社時価総額>>企業価値となっていますが、自然言語処理はDX(デジタルトランスフォーメーション)の核の一つだけに、大化けする可能性は十分にあると思います。
まとめ:将来有望、さてどうなるか?
ディビイ社はすでに多くの会社で採用され、特に製薬業界においては大手製薬会社で既に採用済み。また、VC(ベンチャーキャピタル)からの出資も受けています。
特許も取得しており、自然言語の分野においては差別化できる技術を持っていると言えるでしょう。
ただしこの分野は多くの事業者が参入するだけに、今後激戦区になることが予想されます。
その中でディビイ社がどこまで強みを生かせるか、あるいは陳腐化してしまうのか、そのあたりが投資家としての判断基準になるのではないでしょうか。