今回は、遅延案件をどう着地させるか? ということに関する一考です。
あくまでも私の考えで、細部はこれから専門家にも相談しつつ、詰めていかなければなりません。まずは一考ということで紹介します。
maneoの京都案件が一応の決着を見せそうですので、これを例にとって説明します。
<目次>
クラウドファンディングにおける損失の扱い
その前に、クラウドファンディングに関する税制について、簡単におさらいします。
クラウドファンディングは基本的に雑所得となり、利息の支払時に20.42%(*)の税金が源泉徴収されます。
(*復興特別所得税込み、2037年まで)
ただし、これで税額の処理が終わるわけではありません。
20.42%はあくまでも目安として源泉徴収されているだけで、実際は投資家が確定申告をすることで最終的な税金が決定されます。
雑所得は総合課税ですので、その他の総合課税に属する収入と合わせ、以下のように累進課税となります。
(雑所得20万以内、かつ他に控除がなければ、確定申告は不要)
(引用元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
さらに、ここに住民税10%が加算されます。
雑所得であるクラウドファンディング収益は、年度をまたいでの損益通算はできませんが、同じ年に利益と損失があれば、それを相殺することができます。
クラウドファンディングで発生した損失については、同年に利益があれば確定申告をすることで、払いすぎた税金が戻ってくる形で一部が還付されることになります。
ここまでがおさらいとなります。
maneo(京都案件)の状況
では次に、実際の案件の紹介です。
私が投資していたmaneo案件のうち、京都案件で動きがありました。
2019年5月から遅延状態になっていた案件が、一応の決着を見た、という状況です。
上記案件で、担保となっていた2物件の競売、及び不動産事業者の債権に対する強制執行(差押え)が行われた結果、投資額80万円のうち、¥528,216が回収済。未回収は¥269,788となりました。
無担保債権の取り扱い
この案件の説明では、未回収金についてはさらに強制執行を行うべく、対象資産の特定を行っているとあります。
回収金の分配は、10月22日に実施する予定です。
該当投資家の皆様におかれましては、「my maneo」にて分配の詳細をご確認いただけます。
これまでのご報告のとおり不動産競売による回収が終了し、再度の強制執行(差押え)を実施すべく、対象となり得る資産の特定及び、裁判所への申立てを行っております。
この実施結果につきましては、判明しましたら改めてご報告いたします。
もっとも、すでに担保物件は全て売却済、一度は強制執行をしており残りは無担保債権ということであれば、その回収の見込みは低いと言わざるを得ません。
*これは、債権回収業務を委託されたパルティール債権会社への批判ではありません。やらかした張本人であるmaneoは擁護しませんが、パルティールはむしろ良くやっていると思います。
無担保債権を回収の見込み無しと宣言するなら、損失は確定してしまいますが後腐れはなくなります。しかし、どうもそういう感じではない様子で、無担保債権としてこれからも回収が長引きそうな予感がします。
となれば、投資家側も何らかの手段を講じるべきではないでしょうか。
ということで本題に入ります。
年齢表(エイジングリスト)の考え方
商品を販売して代金を受け取る、という一般的な会社を例に取ります。
会社において重要な管理項目の一つに、売掛金の管理があります。商品は売るだけではなく、代金を回収して初めて取引として成立するからです。
そこで使われるツールの一つが「売掛金年齢表」。
未収入金残高を、売上日や入金期日を基準として管理するための一覧表になります。
(参考)
www.d-tide.co.jp
投資は売買ではありませんが、投資が焦げ付いたかどうかを判断する際には、同様の年齢表の考え方が使えそうです。
具体的には、長年にわたって未回収が続いている投資案件(特に今回のように、無担保債権になったもの)については、投資家側の方で損失計上してしまう、というのも一つのアイディアと考えます。
クラウドファンディングはまだ新しい投資で、未回収債権(特に、回収の見込みが立ちにくい無担保債権)の取り扱いについて、ルールが定まっているとは言えません。
であれば、個々の投資家が最大利益(最小損)を目指し、合法の範囲内で工夫する余地はあるのではないか? と考えます。
もちろん、最終的に判断するのは税務署です。
税務署にもし否認されたら、その時に修正すれば良いと思いますし、もちろんその覚悟あっての行動です。
注意すべき点と、ディスクレーマー
本記事では無担保債権など、回収の見込みが少ない案件について、投資家側で貸倒扱いにする考え方を提唱しました。
これにより、年をまたいで損益を通算できない雑所得であっても、ある程度損失を均すことができるようになります。
この手法を実践する際、気をつけなければいけないのは、下記の3点でしょう。
①どのような債権を貸倒として扱うか、妥当かつ一貫した判断基準が必要
②投資家側で貸倒にすることにより、事業者からの年間取引書との間に齟齬が発生するため、相違点についての管理台帳が必要
③後日追加の未収金回収が発生した場合には、改めて収入として繰り入れが必要
②、③については管理工数が増えるだけなので何とかなりますが、①については税理士とも相談しつつ進めていこうと考えています。
(注記・ディスクレーマー)
本コンテンツについては、SALLOWが税理士と相談しつつ、実践を予定している方法について紹介したものです。
実践される際には税理士との相談も含め、各自の責任において調査、判断を行って下さい。