株式投資型クラウドファンディングの話題です。
ベンチャーやスタートアップに投資でき、大きなリターンを得られる夢がある一方、未上場ゆえの流動性の無さ(売買できない)が最大の課題でした。
その課題の解決に向けた最初の動きが登場しましたので、紹介します。
<目次>
FUNDINNOがやってくれました!
未上場株の流動性問題を解決するためには、「株式市場のように、未上場株を売買できる市場」が必要になります。
株式投資型クラウドファンディング(Equity CrowdFunding:ECF)、「FUNDINNO」を展開する日本クラウドキャピタル(JCC社)が、ついに動き出しました。
年内に融商品取引法第1種の登録を目指し、年明けに「株主コミュニティ」の仕組みによる、未上場株式を売買できる市場を作る予定とのことです。
記事内での説明によると、すでに野村証券やみずほ証券では株式コミュニティの仕組みがあるとのことですが、それらとの大きな違いは「オンライン上で売買できる」という点です。
確かに見てみると、野村證券、みずほ証券ともに株主コミュニティは店舗(コールセンター)のみの取り扱いになっていました。
ついでに言えば、あまり活発そうではありません。
せっかくのフィンテック時代。
オンラインで気軽に取引できることは、活発な市場を作る上での大前提でしょう。
未上場株式の売買需要
(図は上記、日本経済新聞のページより引用)
日経の記事において、JCC社が未上場株式の売買市場を作るのは、以下のような理由であると説明されています。
①株式型CFを通じて株式を購入した投資家の換金需要が出始めたため
②すでに株主になっている投資家からは買い増ししたいとの需要も出ている
2020年9月時点で40億円弱の資金が、株式投資型クラウドファンディング(ECF)に流れ込んでいます。
となればもちろん、換金需要も買い増し需要も出てくるでしょう。何よりもECFの出口戦略であるEXITに、IPO(投資した企業の上場)、M&A(投資した企業の買収)に加え、流通市場での売買が加わることになります。
「EXITの選択肢が増える=流動性が増える=ECFの懸念点の一つが薄れる」
つまり、ECFに関わる投資家であれば、株を持っている人も持っていない人も、いずれも得をする仕組みなわけです。
これは期待大です。
まとめ:予想や所感
海外においても、同様の動きは加速しています。
記事の中で、イギリスにおける最大手ECF事業者が、未上場株式の売却サービス会社と合併したという内容も伝えられていました。
今後ECFの規模が大きくなり、どこかの点で一般的なサービスとしてブレイクするためには、未上場株式を「頻繁に」かつ「オンラインで簡単に」売買できる仕組みは、必要不可欠だと思います。
そういった意味で、今回のニュースは大きな転換点と言えるのではないでしょうか。
気になる売買価格ですが、基本的には直近における株の調達価格で決まるのではないかと思います。
具体的には、FUNDINNOにおける調達価格しかなければその価格、その後に外部から資金調達をしていれば、その価格で上書き。
事業者の期待値により若干の上下はあるでしょうが、概ねこの金額が基準になると考えます。
未上場株式の売買に参加できるのは、「自らの意思でコミュニティに参加した投資家」。
おそらくFUNDINNOの投資家登録をしておく必要があると思われます。
来年以降売買が可能になる予定の未上場株式に興味のある方は、会員登録をしてみてはいかがでしょうか。
*最後に、日経の記事に一言。
日本で未上場株の「流通」市場が拡大するためには、投資上限など規制の緩和が必要というのは同意します。
しかしそもそも、流通市場以前に拡大してほしいのは未上場株市場全体であり、そのためには健全なEXITが不可欠であるということも追記してもらいたかった、と思います。