融資型クラウドファンディングの話題です。
融資型において「保証」というのは、以前より「担保」と同様に案件の保全を行うために広く用いられてきましたが、最近は新しい保証がでてきました。
その状況と、これからの課題について思うところを書いていきます。
<目次>
日本保証による第三者保証
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)におけるこれまでの保証は、貸付先の会社の代表者連帯保証、あるいは貸付先関係会社の連帯保証が多かった印象です。
ただこれらの保証は、いったん会社が傾いてしまうとほとんど効力が無い、という問題点がありました。
これに代わる保証として、最近の融資型で出てくるようになったのが第三者保証。
債務保証を専門に行う「日本保証」が、クラウドファンディングの債務保証を行うことになりました。
債務保証の専門会社であれば目利きの経験値はありますし、投資家と会社の利害が一致するセイムボート性もある。これまでの融資型の経緯を考えれば、投資家ニーズを捉えた商品だと思います。
もともと日本保証は、SAMURAI FUNDと関係のある会社であり、SAMURAI FUNDにおいては多くの保証付きファンドが登場しています。
最近では5億円という大型ファンドの「オータムキャンペーン2号」が募集され、満額埋まって募集完了となりました。
CAMPFIRE Ownersの対談記事
その後、日本保証による保証はSAMURAI FUNDを越え、他の事業者にも拡大しました。
これはかなり驚きだったのですが、CAMPFIRE Ownersも日本保証の保証付きファンドを募集しました。
(こちらにも投資済みです)
上記の対談記事にありますが、日本保証は主に不動産担保融資をメインに取り扱ってきた背景があり、その経験やトラックレコードを生かして保証ビジネスを行っているとのこと。
そしてCAMPFIRE Ownersとしては、投資家からのフィードバックとして、ファンド資金の保全性を高める仕組みのあるファンドの需要を確認したことから、提携に至ったということです。
従来の金融機関から資金を借りにくい事業者はあるわけで、そこには様々な理由があります。
単に「返済能力が無いから」という理由で括るのは、少々乱暴でしょう。
特に現在のコロナ禍では、そういう事業者の資金調達はさらに難しくなっており、日本保証が間に入ることで資金ニーズを満たせるのであれば、投資家・営業者・事業者の「三方良し」にもつながるのではないでしょうか。
もう一つの事業者と、これからの課題
実はもう一つ、日本保証の保証付きファンドを扱っている事業者があります。
沖縄発の「Pocket funding(ポケットファンディング)」で、不動産担保+日本保証の保証付きとガチガチな割には5.0%という好利率の案件でした。
こちらもすでに満額募集完了しており、次の保証付き案件が待ち遠しい状況です。
日本保証の保証残高は2,000億円を超えており、ここまでに紹介した3事業者の保証を合計しても、保証残高の1%以下であり影響は軽微と思われます。
今後ビジネスが拡大し、保証残高が目安100億円を突破することがあれば、その時は再評価をすべきかもしれません。
それよりもこれからの課題は、安全性の高い案件へのニーズが高まる中、他の債務保証会社が出てくるかどうかということだと思います。
クラウドファンディングの債務保証は、新しいビジネスになると思うのですが、さて参入はあるのでしょうか。
今後に期待です。