野村総合研究所(野村総研)が2年に一度行っている、純金融資産保有額別の世帯数と資産規模についての推計です。
2019年の最新版が出ましたので、中のデータを色々比較したり、いじってみることにしました。
<目次>
結果の概略
今回の元データは野村総研が、「2019年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模を、各種統計などから推計したもの」になります。
ソースは以下のページです。
(上記、野村総研のページより引用)
世帯の純金融資産を
・「超富裕層(5億円以上)」
・「富裕層(1~5億円)」
・「準富裕層(5,000万円~1億円)」
・「アッパーマス層(3,000~5,000万円)」
・「マス層(3,000万円未満)」
の5つに分け、それぞれの世帯数と金融資産の保有額を表しています。
2019年は超富裕層が8.7万世帯、富裕層が124万世帯で、いずれも2017年と比べ増加しました。
(上記、野村総研のページより引用)
データをいじって、可視化する
興味を惹かれましたので、このデータを少しいじってみることにしました。
まずは超富裕層~マス層に関して、
・それぞれのカテゴリの世帯数
・1世帯あたりの純金融資産
の2005~2019年における推移を可視化してみます。
<超富裕層>
<富裕層>
<準富裕層>
<アッパーマス層>
<マス層>
検証データや環境データ
これに加えて、検証データや環境データ(周囲の環境に関するデータ)も調べてみました。
・上記野村総研による世帯数と、住民基本台帳による世帯数の相違チェック
・賃金推移
・就業者人口
結果は下記の通りとなります。
データの俯瞰
以下はデータを俯瞰して見られる内容です。
<各カテゴリの世帯数、平均金融資産について>
・マス層の平均資産は横ばい
・アッパーマス層の平均資産と世帯数は微減だが、それ以上に準富裕層の世帯数は増加しているため、アッパーマス↓準富裕層へのクラスアップが起きている
(準富裕層の平均資産が減少したのは、アッパーマス層からの流入によるもの?)
・富裕層、超富裕層の平均資産と世帯数は増加中
<検証データや環境データについて>
・野村総研のデータによる世帯数と、住民基本台帳による世帯数には100~300万世帯の差がある
・平均賃金は横ばい
・平均賃金×就業者数で計算される、総支給賃金もほぼ横ばい
所感
2020年は新型コロナの影響で、個人の金融資産は大きく動いたことと思われます。
上記のデータはその分を加味していない2019年までのデータですが、第一印象としては「金融資産の上位は堅調に資産を増加させ、下位は現状維持もしくは微増」というところです。
マス層の平均資産はほぼ横ばいである一方、アッパーマス層は微減ですがその分準富裕層が増え、富裕層・超富裕層は堅調に増加しているのが、その理由です。
一方で給与ベースは横ばい、賃金×就業者=合計賃金も横ばいなことを考えると、本業の収入が増えない割には他の手段(副業や投資?)により、資産構築の面では健闘していると言えるのではないでしょうか。
おそらく今後も、給与については上下の差が開くことはあれ、平均値が大きく上がるということはないでしょう。
給与収入だけに依存しない資産構築が、ますます求められる世の中になっていると感じました。