旧ブログの記事をリライトした雑記です。
テーマは「自己満足」。
どちらかと言えば、あまり良くない意味に使われることが多い言葉のように思いますが、本当にそうでしょうか? という内容です。
<目次>
自分事であれば、自己満足こそが目的
まずは最初に、定義を引いてみます。
じこまんぞく【自己満足】
客観的評価に関係なく、自分自身にまたは自分の行為に自ら満足すること。
(デジタル大辞林)
一般的にこの言葉は、「自己満足で終わる」「自己満足にすぎない」などと、どちらかと言えばネガティブな意味に使われる事が多いと思います。
ただ、その元々の意味は「自分が満足する」というポジティブなもの。
もしも自分の趣味の世界であるなら、自己満足こそ求めるべき目標だと思います。
そもそも自己満足は「客観的評価に関係ない」のですから、自己満足しないということはイコール、ただひたすらに高みを目指し続けるということ。
そんな事をすれば、いずれ辿る運命はイカロスと同じです。
たゆまぬ努力をひたすらに自分に課すことができる人はほんの一握りであり、それは能力としては確かに立派なことかもしれませんが、人格という意味ではどこかしら逸脱しているとも言えます。
人はほどほどに目標を立て、それを達成して満足を得るのが大切で、それが次のモチベーションにつながります。
「朝はちゃんと起きる」くらいの目標でもいいでしょう。それを自己満足と他者から指摘されようが、「So What?」で終わる話だと思います。
相手がいる仕事の場合
それでは、相手がいる仕事、業務の場合はどうでしょう。
さすがにこの場合は、自分一人で満足して終わりというわけではありません。
しかしだからと言って、「自己満足で仕事をするな」という上司が言いがちな言葉に、私は違和感しか感じません。
より正確に言えば、他人に(特に、部下に)対して「自己満足ではダメだ」と言う人は、その本来の意味を取り違えているようにしか思えないのです。
なぜなら、「自己満足で仕事をするな」と説教する上司の求めるところに従えば、それは上司の自己満足に過ぎないからです。言葉遊びのように感じるかもしれませんが、自己満足という言葉に他者が介在しない以上、誰もが平等でしょう。
本来の意味を取り違えていると思うのはここのことで、つまりこの場合の上司の言葉は
「(おまえの)自己満足で仕事をするな。(私の)自己満足に従うような仕事をしろ」
という意味に過ぎず、「他者の自己満足」などという動くゴールを目標に据えたこの言葉が、何ら業務命令になっていないのは明白だからです。
落とし所も大事です
時には、先ほどの「(私の)自己満足に従うような仕事をしろ」という(私が)の部分が、(会社が)や(客先が)に変わる場合もあるでしょうが、結論は同じことです。
とは言え、「だから平行線でいいのさ」などと斜に構えるのは社会人1年生までの話。
社畜であろうがなかろうが、労働者として労働力や成果の報酬を受け取っている以上、使用者や上司に対して我を100%通すわけにはいきません。
ここで大事なのは、業務に取りかかる前にゴールを決めておくこと、だと思います。
・その業務の目的は何なのか。その意味はどこにあるのか。
・業務の目的に対して、業務の方法は妥当なのか。もっと良い方法はないのか。
・業務の目標は妥当なのか。高すぎないか、低すぎないか。
こういった事を明らかにして、あらかじめ上と握っておく事が大事ですし、逆に上司の立場であれば、こういった事をあらかじめ部下と決めておく必要があります。
部下は落下傘部隊ではないので、実力を出せる場所を整えることは、大半が上司側の責務です。
そうやってあらかじめ握ったゴールがあれば、もう自己満足とは言わせません。
後はその目的を達するために、いかにミスを防いで効率良く、楽をして目的を達成するか。それこそ、雇われ人の本領発揮と言ったところではないでしょうか。
気をつけるべき指示
一つ気をつけなければいけないこととして、下のような組み合わせがあります。
「妥当性が検証されていない過大な数値目標+自己満足で仕事するな、の指示」
このコンボは、(ほぼ手の届かない)目標だけを至上とし、そこに至る努力を自己満足と切り捨てるものです。
私の拙い経験上ですが、上司や会社がこれを言い出したら、耳を閉じる準備をしておいた方がいいです。
その次はだいたい、「目標達成のため、従業員は身を削ってでも自発的な努力と行動を」と来ることが多いです。こういった類いのことを上司や会社が言い出したら、「本日はお日柄も良く」あたりに脳内変換しておくことをお勧めします(笑)。
これまた私の経験上ですが、上記のような事を上司や会社が言い出したとしても、たいていは一過性のものに終わる場合が多いです。
通常の考えと理性があるのなら、ハッパをかける言葉としてはともかく、長期にわたって従業員を動かす言葉にならないことくらいは自明だからです。
では、もし一過性のものではなかったら?
その場合は、転職活動を始めるタイミングかと思います。