ECF(株式投資型クラウドファンディング)の話題です。
ECFのプラットフォームを運営する事業者が、立て続けに金融機関との業務提携や資本提携を発表しました。
ECFと金融期間の接近のメリットについて紹介します。
<目次>
FUNDINNOの場合
FUNDINNO(ファンディーノ)は5月に、ちばぎんキャピタルの投資事業有限責任組合(ざっくり言えば、ベンチャーキャピタルのようなものです)、及びいよぎんキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施しました。
ちばぎんキャピタル、いよぎんキャピタルは名前の通り、千葉銀行、伊予銀行(愛媛)のグループ会社として、投資事業を行っている会社です。
FUNDINNOはこれ以外にも、同じく2021年の5月に電子部品・半導体の販売やEMSを行う加賀電子を引受先とする、第三者割当増資による資本提携を行っています。
イークラウドの場合
同じくECF(株式投資型クラウドファンディング)を扱う「イークラウド」も、2021年5月に群馬銀行との業務提携を発表しました。
目的はもちろん、群馬県内のスタートアップ、ベンチャー企業の支援を行うためです。
群馬銀行が目利きをしたベンチャー企業をイークラウドに紹介、審査を経てECFで資金を募集する、という流れを想定していると思われます。
ECFと金融機関が接近する意味
ECFの営業者と金融機関が接近する意味は、プレスリリース内で書かれているように「地方」がキーワードになっています。
イークラウドのプレスリリースでは、「2019年時点でベンチャー企業の資金調達額のおよそ80%が東京に集中していると言われており、地方ベンチャーの資金調達が課題」とあります。
ECFの営業者が地方のベンチャーまで把握するのは現実的ではなく、逆に地方のベンチャーがECFにアクセスする機会もなかなかりません。
地方企業のことをよく知っているのは地場の金融機関であり、地方のベンチャー企業の発掘を行うためには、その地場の金融機関との接近が欠かせないということなのでしょう。
FUNDINNO、イークラウドが次々と提携を発表する中、その他のECF営業者であるユニコーンやCAMPFIRE Angelsがどう動くかにも注目しています。
クラウドファンディングと銀行の関係
最後に、クラウドファンディングと銀行の関係性について。
クラウドファンディングには様々な類型がありますが、投資型と言われるものは融資型、不動産投資型、株式投資型の3つ。
このうち融資型は銀行の業務である融資と重なるところがあり、かつ銀行融資が届かないところに融資型クラウドファンディングのニーズがあるため、銀行が提携することは今のところなさそうです。
不動産投資型についても、今のところ不動産事業者が営業者になっているため、銀行とはまた別の資金融通として用いられているのが現状。
こう考えると、少なくとも足下で金融機関と提携していくのは、株式投資型クラウドファンディングがメインとなっていくでしょう。