今回はFIREに関する雑記です。私は先日、資産の上では一定の経済的独立を果たしました。
その上で見えてきたこと、今まで考えていたのと実際は違っていたことについての話題です。
<目次>
そんな頃もありました
私はとある製造業の会社員出身で、2021年の10月末で退職しFIRE生活に入っています。
私が会社員を初めてしばらくの間は、良くある「不労所得への憧れ」というものがありました。
「1億円持っていたら利率3%運用で年300万円か、少し足りない? だったら5%では? 2億では?」
と言った類の、たどり着く具体策の無い妄想のようなものです。
妄想が悪いという意味ではありません。
誰でも初めは漠然とした考えからスタートするわけで、そこから計画を立て具体策に落とし込み、行動に移せるかどうかという違いがあるだけだと考えます。
例えば今はしばらく会社に居続ける予定だとしても、人生何があるかは分かりません。「何かあるかも」という妄想は空振りに終わったとしても、何かしら得るところはあるでしょう。
なので実際に退職するかどうかに関わらず、「もし辞めたなら何がリスクになるのか?」を考えることは、多くの人にとって有用な行動だと思うわけです。
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ただ実際にFIが視界に入ってくると、「不労所得への憧れ」として漠然と抱いていた景色は、実際ずいぶん違うものだということが分かってきました。
Fat FIREのジレンマ
FIREにはいくつか種類がありますが、そのうち最も裕福と思われるのが「Fat FIRE」。つまり十分な資産(ストック&フロー)を持ち、働かずに暮らすというFIREのあり方です。
ただ実際、Fat FIREというのはなかなか難しいことに気づきました。
働かずにただ暮らすだけなら実現難易度は高くないのですが、慎ましい生活をするのはFat FIREではありません。
「働かずに心のまま行きたいところへ行き、買いたい物を買って遊んで暮らす」という多くの人が想像するFIRE生活は、もし本気でやろうとすればかなり難易度が高いです。
その人の物欲にもよりますが、一般的に言えば1億円や2億円の資産ではまず無理でしょう。
また十分な資産を持っている人ほど、資産は現金ではなく何らかの投資商品(不動産や太陽光を含む)の形で所有しているケースが多いと思います。
であれば、投資している資産を増大・維持するためには様々な判断や行動に迫られ、結局のところFIREしたところで自ら動く必要が生じます。
もちろん全て人任せにする方法もありますが、パフォーマンスは当然落ちます。
Fatに近いFIREをできる人は能力と行動力の点で優れている場合が多く、結果としてFat FIREした人ほど自ら動き資産を拡大させていくという傾向があるように思います。
(私がSNSでつながりのあるFIしている方は、ほぼこういう傾向です)
自分に照らしてみると
私の資産はFat FIREにはほど遠く、京都中心部の新築マンションを複数買えば底を付く程度です。
と言っても私の物欲はそれほどなく(*)、日々の幸せはお酒とおつまみ、温泉とサウナとたまに旅行でもあれば満たされてしまうものなので、現状の資産でも不自由ない暮らしはできていますし、継続できる見込みはあります。
*昔はそれなりにあったはずですが、いつでも買えるだけのお金が貯まったら「今買わなくていいや」と思うようになりました。
これ以上の暮らしや資産を望まないと言えば嘘になりますが、そこまで強い欲求はありません。
それでも私は会社を辞めた後、主にクラウドファンディングの界隈において取材に応じたり、企業とのタイアップをしたり、たまにはセミナーに登壇するなどの活動を続けています。
なぜそんなことをしているのか?
その理由はFIを達成したことで、私が欲しいのは自分で好きに動いて手に入れることのできる果実であって、動かずに手に入るような不労所得ではないことに気づいたからです。
それにもう一つの理由は、「小人閑居して不善を為す。況やSALLOWをや」ということを自覚しているからでもあります(笑)。
まとめ
私は結局のところ凡人であり庶民なので、「本気で」遊んで暮らす資産はありません。
それに私は会社員時代から、自分の手を動かして自分で為した事以外なんの興味も価値も見出さなかったので、仮にガチでFat FIREできる資産があったところで、不労所得を得て遊んで暮らすことは続けられないでしょう。
これはREではない、という意見もあるかもしれません。
しかし私は、FIREのうち「FI(経済的自立)」はともかく「RE(早期退職)」は人それぞれの定義があっていいと思っています。
今居る会社を辞めるもRE、フルタイムで働かないもRE、一切働かないもREで、そこに優劣はありません。
一つだけ定義するのなら、FIREのREは「働くも働かないも選べる選択肢を持つ」ことではないかと思ってます。
なので先日話題になった「FIRE卒業」というのは「卒業」でもなんでもなく、もし相場の下落などでFIを維持できなくなったのなら単なる「FIRE失敗」であり、FIを維持しているのにヒマが嫌になったのなら「FIRE継続」ではないかと考えるわけです。