2021~2022年は多くの不動産投資型クラウドファンディングが、サービスを開始した年となりました。
一方で元気がないのが融資型ですが、そろそろ雪解けの季節になることを祈念してこれまでの背景を少し振り返ってみます。
<目次>
融資型、冬の始まり
融資型クラウドファンディング(=ソーシャルレンディング)においてはこれまで、いくつかの貸付遅延や損失が起きました。
(起きましたというか私自身も現状、数百万円後半の遅延がありますが)
大きかったのはmaneo関連とSBIの問題であり、特にSBIについては当局もかなり大きな問題として取り上げました。
ここから、融資型クラウドファンディングの冬の時代が始まってしまったと言っていいでしょう。
*なおSBIソーシャルレンディングはその後、バンカーズHDに事業承継をすることになり、2022年5月9日にバンカーズとして統一されました。
このような問題が起きてしまった背景は、黎明期として制度(事業者側も当局側も)が固まっていなかったこと、それによる室の良くない事業者の参入を招いてしまったこと、さらには融資型におけるガバナンスが十分ではなく、ビジネス拡大を優先させた無理をした案件の組成を行ってしまったことなどが挙げられます。
そしてこの後、融資型クラウドファンディングの新規参入事業者はめっきり少なくなりました。
そこには当局の厳しい監視や引き締めがあったことは、想像に難くありません。問題が起きなければ取り締まりが起きないのは、残念ながら行政や警察あるあるです。
AGクラウドファンディング
SBIショック後に参入してきた事業者の一つがAGクラウドファンディング。初回ファンドの開始は2021年9月です。
AGクラウドファンディングは、消費者金融の大手であるアイフルのグループ会社が運営する融資型クラウドファンディングです。
当初はアイフル本体に貸し付けるローンファンドのみを取り扱っていましたが、現在では外部案件も取り扱うようになりました。
外部案件の取り扱いを始めたのは参入の6ヶ月後、2022年3月のことでした。
Funvest(ファンベスト)
AGクラウドファンディングに続いて融資型に参入したのは、Funvest(ファンベスト)。こちらの初回ファンドは2022年11月です。
運営会社のFintertech(フィンターテック)社は、大和証券とクレディセゾンの合同出資で始まった会社で様々な最先端金融を取り扱っています。
こちらも最初のうちはファンドは2つ(モンゴル商業銀行TDBへの貸付と、上場会社であるアズ企画設計社へ貸し付けるファンド)しかなかったのですが、サービス開始3ヶ月後には3つめ、5ヶ月後には4つめのファンドが組成され、今は多くのファンドが募集されています。
CAPIMA(キャピマ)
ここまでの二つに共通することとして、「大手がバックにいる企業」でかつ「最初はファンドが限定的だった」事が挙げられますが、3つめに紹介するのは少し毛色が異なります。
事業者の名前は「CAPIMA(キャピマ)」、運営会社はアバンダンティアキャピタル社。2022年12月に最初のファンドを募集しました。
外資を中心とした金融機関で長いキャリアを積んだ経営陣が運営するサービスですが、大きなバックが付いているというわけではありません。
前述の通り、融資型クラウドファンディングにおける当局の目は大変厳しいと推測されており、その中で大会社の後ろ盾もなくサービスを開始できたというのは、それだけでも快挙だと思います。
CAPIMAでは現在2ファンドしか募集をしていませんが、AGクラウドファンディング、Funvestと同様に時間が経てば募集されるファンドの種類が増えてくることが期待されます。
個人的な意見
SBIショックとも言える事件が起きて後、2021年からは融資型クラウドファンディングの新規参入が大幅に減少し、代わりに多く参入してきたのは不動産投資型クラウドファンディングです。
不動産投資型は小口不動産投資の入口として適していると思う一方で、個人的な思いとしては融資型クラウドファンディングをより応援したい気持ちです。
理由としては、私がクラファンに足を踏み入れた時には融資型しかなく、融資型が投資の始まりだったという点が一つ。
二つ目は不動産投資型クラウドファンディング「だけ」に集中するのも、分散投資の観点で言えば健全とは言いがたいこと。
最後は二つ目と被りますが、不動産投資型で扱える案件の範囲は思ったより狭く、融資型であればより幅広く面白い案件を組成できること。つまり潜在的な市場規模は融資型の方が圧倒的に大きいことです。
投資の最優先目的は利益ですが、他に何を求めるかは人それぞれであり、面白さを求めてもその人の自由。
2023年が融資型にとって雪解けの年となり、面白くリターンのある案件がたくさん登場しますように。