不動産投資型クラウドファンディングには現在、100を超えるサービスが事業を展開しています。
その中でまた一つ、面白いサービスとご縁がありました。内容を紹介します。
<目次>
TAMBO(タンボー)
紹介するサービスの名前は「TAMBO(タンボー)」。
運営会社であるルーフトップリアリティー株式会社が不動産の購入から賃貸・売却までの運用を行い、投資家は日本全国の不動産に小口投資ができるサービスです。
対象とする不動産は住居に限定せず、一棟マンションを中心としたレジデンス・オフィス・商業ビルなど幅広く対象にすることで投資機会を確保する方針です。これまでの3ファンドで1つはスモールオフィス、2つはレジデンス案件でした。
代表者の「若生 和之」氏は、2005年に1棟収益不動産専門会社に入社し、収益不動産専門会社(おそらくウィー・イング・シー社)役員を経て、2015年にルーフトップリアルティー株式会社を設立したとのこと。
簡易的に調べられる範囲で調べたところ、特にネガティブな情報は見当たりませんでした。
1号案件は驚きの劣後95%
TAMBOではこれまでに3つのファンドを組成していますが、最初のファンドはまさにオープニングセールと呼ぶに相応しい内容になっていました。
東京スカイツリーから徒歩3分の立地のオフィスビルを対象にしたファンドで、短期3ヶ月のファンドかつ劣後95%という初回ファンドならではの採算度外視スキーム。
おまけに想定年利10%に対して14.67%というアップサイド配当も達成しています。
高利率の案件が出てくると、必ず「怪しい」「詐欺に違いない」という意見を耳にしますが、これは短絡的な意見でしかありません。高利率だから/うまい話に見えるから怪しいのではなく、怪しい話は必ずうまい話の顔をして近づいてくるだけです。
その案件がなぜ高利率なのか理由が付くなら、それは怪しいファンドではありません。このファンドはTAMBOのオープニングセールであること、さらに元々安く仕入れているだろうことを考えれば、この利率や条件になってもなんの怪しいところもないと考えます。
情報開示姿勢は評価。ただ拡大適用には疑問
またTAMBO(タンボー)では先日、「勧誘方針の改訂について」という内容のお知らせをリリースしました。
商品内容やリスク内容などの重要事項として、以下の4点について特に留意して情報開示・説明を行う旨を具体的に規定いたしました。
・対象不動産の特定
・商品及び対象不動産特有のリスクに関する説明
・想定利回りの算定根拠の説明
・商品や投資リスクに対する誤認、印象操作につながりかねない用語・画像等の利用の排除
このような改訂はおそらく、先日金融庁から公開された「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について」を受けたものでもあるでしょう。その中では不動産投資型クラファンの事業者においても、金融機関におけるフィデューシャリー・デューティ(受託者責任)に準じたものがガイドラインとして設定されていました。
ただ一方で、これをすべての事業者に拡大適用すべきという意見には疑問があります。
特に最初の「対象不動産の特定」については、当該ファンドの性質上不動産を特定することがファンド運営にとってマイナスに働く可能性も十分にあり得ます。
情報公開や説明を行う目的は投資家の正しい判断を導くことであり、さらにその目的は投資家の利益です。手段に拘って最終的な利益を損なうのでは、本末転倒というものでしょう。
ただそれはさておき、TAMBO(タンボー)におけるこのような情報開示姿勢は高く評価します。公開できるものであればガンガン公開して透明化することが、業界の改善と健全化に寄与することでしょう。