老舗の不動産投資型クラウドファンディング、「CREAL(クリアル)」から大きなニュースです。
クリアル社が不特法事業3号・4号の許可を取得しました。これによって起こる変化、許可取得の意味について自分なりにまとめてみます。
<目次>
CREALのキャンペーン

CREALでは、新規登録や初回投資でAmazonギフトがもれなくもらえるキャンペーンを実施しています。
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条件 CREALに新規投資家登録、もしくは新規登録後に50万円以上の初回投資を行う
(会員登録から60日以内の投資家登録や初回投資が必要)
確認方法 対象者には会員登録後、「キャンペーン対象のお知らせ」というメールが送られます
プレゼント内容 下記の通り、②~⑤はいずれか一つの適用
プレゼント配布時期 対象条件を満たした月の翌月最終営業日にAmazonギフトカードを送付
(条件とAmazonギフトの額)

不特法3号・4号の特徴

(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001373305.pdf より一部抜粋)
不動産特定共同事業法に基づく第3号・第4号事業というのは、平成25年改正の不動産特定共同事業法によって可能になりました。第1号・第2号事業とは異なり、ファンドの運用時に特別目的会社(SPC)を介在させられるようになります。
通常の不動産投資型クラウドファンディング(1号事業)では対象物件の運用が順調であっても、事業者が倒産した場合対象物件が会社の資産と見なされ債権回収の対象となるケースがあります。
結果として投資家が出資した不動産の収益が投資家よりも債権者に優先配分される可能性があり、対象物件のリスクとは無関係の要因により投資家が損失を被ることになりかねません。

(クリアル社プレスリリースより引用)
SPCを介在させる特例事業の場合、事業者とは倒産隔離されたSPCによるファンドを組成・運営することにより、万が一事業者が倒産した場合もSPCの資産差押えはできません。
結果としてファンドは、事業会社の倒産リスクから隔離されることになります。
個人投資家から見た変化
CREALからのお知らせメールによると、今回の許可取得による個人投資家(クラウドファンディング投資家)から見た変化としては、上記の倒産隔離以外に大きく2つあるようです。
*詳細については、今後募集される個別ファンドの条件を確認する必要があります。
①ファンド利回りの上昇可能性
物件の価値に基づいた銀行借入を行うことによるレバレッジ効果や、想定配当を上振れした場合の利益を投資家に配分するなどの理由により、ファンド利回りが上昇する可能性がある(説明によると、5%→6%で1%程度の上昇)
②劣後出資の変更
ファンドの主体がクリアル社から切り離されたSPCとなるため、今後のファンドでは原則としてクリアル社の劣後出資がなくなる。
正確には特例事業でSPCが介在していても、本体事業者からの劣後出資はある程度可能です。実際に特例事業を行っている他の不動産投資型クラファンのサービスでは、倒産隔離・借入有りの特例事業ファンドで本体事業者から劣後出資があるものもあります。
劣後出資はあるに越したことはありませんが、劣後出資が無い=悪いと短絡的に言えるものではなく、会社としての方針の違いと考えるべきでしょう。
株主からの視点
クリアル社は上場会社ですので、そのプレスリリースは自然株主へ向いたものとなります。
今回の第3号・第4号事業許可取得プレスリリース(2025/6/26付け)でも、株主視点から見た許可取得の意義について記載がありました。

特例事業によりSPCを介在させる意義の一つは、クリアル社の信用力にかかわらず不動産の価値のみを基準に投資判断ができるという点。これにより運営会社のデューデリジェンスが不要になるので、機関投資家や法人投資家が参入しやすくなり、大型案件の組成がやりやすくなります。
クリアル社はSPCから業務を委託する形になるので、組成手数料や管理手数料はクリアル社のPLに計上します。機関投資家や法人投資家の参入により大型ファンド組成が加速すれば、その分クリアル社の収益は増大し株主の利益になるという仕組みです。

もう一つの意義は、財務状況の健全化。
クリアル社が直接ファンドを組成するこれまでの仕組みでは、ファンドはクリアル社のBSに記載されることになるため、会社の実態以上にBSが重くなるという問題点があります。実際上の図の通り、クリアル社のBSの3/4以上はクラウドファンディング関連が占めています。
BSが重くなることは自己資本比率の低下・与信評価の低下を招きます。ファンドをSPCに切り離すことはBSを会社の実態に近づけるとともに、クリアル社の投資指標が向上することになり株主の利益となります。
まとめ
クリアル社が不特法事業3号・4号の許可を取得したことによる変化を、クラウドファンディング投資家と株主それぞれの視点から自分なりにまとめてみました。
今回の許可取得は個人投資家向けのものではなく、クリアル社の価値向上、ひいては株主の利益向上のための施策だと私は考えます。
クリアル社は上場会社ですから、もしもクラウドファンディング投資家と株主を天秤にかけろということになれば、株主ファーストになるのは当然です(*)。そして株主がバランスシートを正常化しろと要求するのも、自己資本比率やROAを向上しろと要求するのも当然のことです。
*もし実際にこの二者択一を迫られる場面になったのなら、その時点で経営の失策とも言えますが。
今回の許可取得はクラファン投資家の方を向いたものではないかもしれませんが、投資家側にはいつでも「投資しない」という自由を行使できるわけですから、それ以上の文句を言うのはただのクレーマーです。
それに見方を変えれば、個人のクラファン投資家にとって今回の許可取得は良い影響ももたらします。今回の許可取得の狙いの一つは機関投資家や法人投資家の参入を促すことですが、これらのプレイヤーの目利きや万が一の時の対応は個人よりよほど厳しいのが一般的であり、彼らに選ばれるようなファンドに個人が投資できる機会が増えたと考えれば十分なメリットではないでしょうか。


