今回はクラウドファンディング投資全般に関する記事です。
クラウドファンディング投資を始めて早十数年、分散投資の案件数なら日本屈指だと思ってるSALLOWによる、「クラウドファンディング投資」と聞いた時の印象と実際の違いを紹介します。

<目次>
- Q:クラファンはリスクが高い?
- Q:クラファンは流動性が低い?
- Q:最悪の場合、全損するんじゃないの?
- Q:クラファンは儲かる?
- Q:投資対象を精査しないといけないんじゃ?
- Q:再度、クラファンは儲かる?
- 気をつける点
Q:クラファンはリスクが高い?
A:リスク(=リターンの不確実性)が高い低いというより、見た目の値動きが無い商品なのでリスクが見えにくい。
クラウドファンディング投資の最大のリスクは、「リスクが顕在化していない」という点にあると思います。
値動きのある投資なら値動きそのものがリスクとして見えていますが、クラファン投資は値動きがないためリスクが見えなくなっています。そのため他の投資以上に分散が重要です。
顕在化していないリスクへの対処方法は分散しかありません。顕在化していないということは、リスクの高低を読みにくいことを意味します。それなら幅広く分散投資してリスクを平滑化するのが最適でしょう。
そういった対処を適切に行っていれば、クラウドファンディング投資のリスクは他の投資と比べ決して高いものとは思いません。
また同じ事業者の中では利回りとリスクは相関関係があると思いますが、異なる事業者の間で利回りとリスクにはそこまで相関関係はないんじゃないでしょうか。むしろ事業者ごとの状況やファンド組成の背景、資金の需給関係により利回りが決まってくるような印象の方が強いです。
なおFunds(ファンズ)やJointoα(ジョイントアルファ)などの事業者は貸付先やスキームを考えると、運用が正常に行われないリスクはかなり低いと思います(その代わり利率も控えめなので、リスク許容度高めな私個人はそれほど投資していません)。
Q:クラファンは流動性が低い?
A:個別ファンドを見ればYESだが、クラファンは複数案件に分散投資するのが当然なのでNO。
良くクラファンは流動性が低い(現金化できない)と言われますが、私に言わせればこれは間違いです。
逆に流動性が高すぎて困るまであります。
仮に1億円をクラファンに分散投資し、ファンドの平均運用期間が1年だった場合、単純計算すれば1ヶ月あたり1億円÷12≒800万円が返済されてくることになります。
つまり月あたり800万円を追加投資しないと、手元現金が積み上がっていくばかりというわけです。これのどこが流動性が低いと言うのでしょうか。流動性が高すぎて困ると感じているのは、こういう理由です。
この必要十分を超えた流動性は、投資手法を見直さざるを得なくなった場合にも有効です。
どんな投資手法でも、必ずそこから卒業することを前提にしています。人生に終活があるように、投資にも手仕舞いの時は必ずやってきます。あるいは自分が大病を患い、投資どころではなくなることだってあるかもしれません。
そんな時クラウドファンディング投資は、投資しなければ勝手に現金化されるという特徴があります。投資手法を見直す時、あるいは大病を患った場合に投資を止めれば勝手に現金が積み上がる、これは大きなメリットに転じます。
Q:最悪の場合、全損するんじゃないの?
A:全損する可能性はゼロじゃない。そのための分散投資。
クラウドファンディングはリスクが顕在化しておらず、一度顕在化した場合は損切りができないという特徴があります。
ですがこれは、クラファン投資における利益は確定益であることの裏返し。通常の株は利益も損失も含みにすぎませんが、クラファン投資の利益や損失は発生した時点で確定しているというだけの話で、人によって合う合わないがあるだけで優劣を問うものではないと考えます。
最悪の場合は投資したファンドがほぼ全損する可能性もありますが、だからこそ分散が重要になってきます。私の場合は「1事業者あたりの投資上限は原則1,000万円」「1ファンドあたりの投資上限は原則100万円」というマイルールを設定し、投資総額が1億を超えた現在でも継続してルールを守っています。
(このマイルールには何らかの裏付けがあるわけではなく、ただの経験則です)
また実際に損失が発生してしまった場合でも、確定申告により同じ年度内のクラウドファンディング収益(雑所得)との間で損益通算が可能で、損失の一部は所得税・住民税・国保などで還付されます。
実際にどの程度が還付されるかはその人によりますが、私の場合なら損失額の約43%(所得税約20%+住民税10%+国保約13%)が還付されます。還付の話題は重要で影響も大きいのですが、なぜかクラファン投資界隈では取り上げられることが少ないように思います。
最後に一つ重要なことを。
分散することで個別ファンドのリスクは抑えられても、より上位には事業者のリスクがあります。某大家さん(*)問題は、まさにこの事業者リスクが顕在化した事例と言えるでしょう。ですから、時間と労力をかけるべきは個別ファンドの調査ではなく事業者の調査です。
*あの事業者は書面契約型なので、正確にはクラファンではありません。
投資しようとする前に事業者の過去や決算状況などを調査し、おかしいと思ったら投資しないという判断を下すのも大事でしょう。なにせ不動産投資型クラファン(書面契約型を含む)に限っても、事業者は100以上あるわけですから。
Q:クラファンは儲かる?
A:儲からない。ただし事業者の話。
クラウドファンディング事業単体で儲かっている事業者はゼロ、あったとしても1つ2つくらいではないでしょうか?
詳細はこちらをどうぞ。
ではなぜ儲からないのにクラウドファンディング事業をやっているかですが、一つは資金調達の多角化のためです。言うまでもないことですが、資金調達とは本来コストであり利益を生むものではありません。つまり事業者がクラウドファンディング事業で儲ける必要はない・・・というよりも資金調達しただけで利益が産まれるうまい話、どこにもないわけで。
クラファン等に関して「儲かるなら銀行から借りて/自己資金でやればいいはずだから怪しい」という主張がありますが、この主張への反証は「資金調達はコスト。つまりそもそも儲からない」で十分です。
では事業者がどこで儲けているかですが、不動産投資型であれば不動産取引そのもの、融資型であれば私募債やコンサルなど他の収益源があり、それらとのシナジーを期待してクラファン事業「も」やっているわけです。
また主流ではありませんが、「不動産事業者がクラファン事業もやっている」ことで人材が集まりやすくなることもあるようです。
こんな感じで事業者にとってクラウドファンディング事業を行うことは、直接的な利益以外に様々な理由があるわけです。
Q:投資対象を精査しないといけないんじゃ?
A:精査の代わりに分散する。
現物の不動産に投資する際には登記なども確認し、投資対象を精査することが重要です。
この考えを不動産クラウドファンディングに持ち込み、クラファンであっても対象物件の現地調査等を含めた精査が必須だとする意見が散見されますが、私はその意見に賛同はしません。
個人投資家は不動産のプロではありませんし、プロでなければ投資してはならないというのはプロ側の傲慢です。それを言ったら個別株もインデックスさえも、金融のプロでなければ投資してはいけないことになってしまいます。
10万円、100万円、1000万円、はては1億円を投資する際、臨む態度が異なるのは当然です。現物不動産や数千万円以上を出資する不動産区分所有を考える上では十分な精査が必須でしょうが、1ファンドあたりの投資額が数十~100万円程度のクラウドファンディングでそこまでの調査は必要ありません。
これは個別案件の調査にかかる労力や時間の代わりに、様々なファンドに分散投資をしてリスクを平滑化するという考え方です。
100のファンドに投資して1つ2つおかしくなったところで、それは些細なこと。重要なのは投資対象全体から得られるリターンです。数件の不動産にしか分散していないケースと比べれば、考え方が違うのは当然のことでしょう。
不動産のプロではない個人でも、分散を武器にクセが強いファンド「にも」投資をしてリターンを追い求めることができる。それがクラウドファンディング投資の魅力の一つだと考えます。
Q:再度、クラファンは儲かる?
A:投資家にとっては、儲かる。
儲からなかったら私はとっくに撤退してます(笑)。
クラウドファンディング投資を始めて十数年、いくつかの被弾を経験し今でも遅延案件を抱えながらこれまで投資を続けられたのは、この投資が性に合っていたというのもありますが、それ以前に儲かっているからです。
記事作成時点での税引後確定利益は、記録が曖昧な部分も含めれば3,500万円弱。
クラファンには一攫千金の夢や華々しさはありませんが、見た目の値動きに一喜一憂しなくても済む投資でこれだけの利益を得られていれば十分でしょう。特に1億円以上の投資資金をコンスタントに投じることができる昨今では、平均して税引後毎月50万円くらいの安定した収益が得られています。
これに加えてクラウドファンディングは、各種ギフト券や特産品などの優待があるのも魅力の一つ。
私の場合、年間にもらえるギフト券や優待の金額は数十万円を軽く超えます。2024年はギフト券だけで一時所得の特別控除枠を超え、確定申告をすることになりました。
(参考記事)
www.sallowsl.com
気をつける点
これまではクラウドファンディング投資の実際について、自分自身の経験を元に書いてきました。
最後にクラウドファンディング投資を行うにあたり、必ず気をつけて欲しい点を2点紹介します。
1点は当記事でも何度も出てきましたが、「分散」。これにつきます。
クラウドファンディングにおける様々なリスク、そしてリスクが顕在化しないというリスク。これら全てをマネジメントする方法は、事業者・ファンド・投資対象などあらゆる点での分散しかないと考えます。
分散すればするほど管理は煩雑になりますが、逆に言えば分散すればするほどクラファンは負けにくい(マイナスになりにくい)投資になります。200以上のファンドに投資するような私を真似するべきとは言いませんが、ここまで来るとほとんどクラファンのインデックスみたいなものでしょう。正直負ける気がしません。
そしてもう1点は、多くのクラウドファンディング税制が雑所得であること。
雑所得は総合課税になり累進課税が適用されるため、一般的には不利な所得区分と言われます。この点をどのようにケアするかは人それぞれですが、同じく雑所得になるような何かで費用を作り、損益を相殺するのが一般的な対処法でしょう。
年間所得を20万円未満にして雑所得の確定申告を省略するのも一つの手ですが、もしそれ以上の利益を狙っていくのなら雑所得への対応は必須事項になると思います。


