クラウドファンディング投資については様々な意見が聞かれますが、ここで私の意見を整理してみたいと思います。
投資方針はみんな違ってみんないいことを前提にして、私はむしろ個人投資家「こそ」クラファンに投資してもいい(≠するべき)と考えます。今回はその理由について。

<目次>
主張1:REITで十分
不動産クラウドファンディング投資を行うのならREITで十分、という主張があります。
この主張については間違っていません。REITで十分ならREITで投資をすればいいということです。
REITは管理やガバナンスがしっかりしていて流動性が高く、リーマンショック後はLTVの低下によって財務健全性が向上し、フォワードコミットメント(契約日より実際の取引日が先になる契約)には慎重となりました。また内部留保をほとんど持たず利益の大半を投資主に分配する仕組みになっています。
ただ一方で流動性が高いために日々の値動きが存在し、J-REITは株式(TOPIX)ほどではないものの株式に近い値動きや株式との正の相関を持つ(*)ようになっています。
*あくまでも見た目の値動きの話であり、資産クラスや投資特性は異なります。
様々な主張はあるでしょうが、値動きがマイルドあるいは即時性がないところが不動産の良いところなのに、それをスポイルしているのがREITだというのは一つの事実です。
(REITを選ばなかった私があまり色々言うと悪口になってしまうので、このくらいで)
結論として、株式(TOPIX)に準じる値動きや株式との中程度相関を容認してREITを選ぶのは個人の判断。
私は値動きある投資が苦手なので、REITには欠陥が多すぎると判断しました。おそらくREITを選ぶの意見が大半でしょうが、そうじゃない人がいてもいいでしょう。投資の世界では、多数派であることが正当性や優位性の証明にはなりません。
主張2:単一不動産でボラが大きい
不動産クラウドファンディングはREITなどと比較して、単一不動産を対象とするためボラティリティが大きいという主張があります。
先日野村総合研究所の「金融ITフォーカス 2025年11月号」で、「急拡大する個人投資家向け不動産小口化商品の光と影」という題名で短いレポートがアップされました。
下記から全文ダウンロードが可能で、今回取り上げる主張はレポートの2ページ目にある「単一資産投資によるリスク集中の弊害が顕在化」の部分です。内容はおおむねタイトル通りです。
この主張については失礼ながら、「完全に間違いだということに目をつぶればおおむね正解」です。
「おおむね正解」というのは、大部分のクラウドファンディングでは1ファンドに組み入れられている物件は一つである点。
「完全に間違い」というのは、そもそもクラウドファンディングは1ファンドのみに集中投資するものではないという点です。
個別株であっても、単一銘柄に投資したらリスクが集中するのが当たり前。何もクラウドファンディングに限った話ではありません。だから分散することが重要という点も、個別株とクラウドファンディングは共通しています。
投資の基本は分散投資によるリスクの抑制。その大前提を取り上げないのはどうなの? と思ってしまいました。
主張3:プロが扱わない商品
次に、クラウドファンディングの一部案件(主に開発案件や高利率案件)はプロ投資家が扱わないから、個人投資家も扱うべきではないという主張について。
扱うべきかどうかは「人それぞれ」の5文字で終わる話ですが、もし白黒付ける必要があるのならこの主張は誤りです。
ここで言うプロ投資家とは、他人(顧客)のお金を預かって運用する主体を指します。例えばREITも、個人投資家のお金を預かる以上同じです。そしてプロ投資家ほどコンサバ(保守的)な投資方針を採ることが多いです。
なぜなら顧客の資産を預かって運用している以上、「ミスって資産溶かしました(テヘペロ」では済まないからです。そんなことになれば所属する投資会社の信頼は失墜し、自分が職を失うだけならいいですが最悪の場合は賠償問題にまで発展しかねません。
一方個人の場合、ミスって資産溶かしたところで自己責任で自分が腹を切ればいいだけの話です。こう考えれば、リスク許容度は明らかに「個人>プロ」であることが分かります。
クラウドファンディングの一部案件がプロ投資家が扱わない、REITなどに組み込まれないというのはこういう事情です。扱わない、組み込まれないのではなく、顧客の資産を預かっているという関係上「扱えない」「組み込めない」だけです。
だからと言って個人投資家が積極的にこういう案件に投資するべきとは言いませんが、一部案件に投資する選択肢を持つのは個人投資家のみだということは分けて理解しておくべきでしょう。
主張4:リスクが読みにくい
クラウドファンディングはリスクが読みにくい、という主張に対して。
この主張に対して私の意見は「その通り」です。ただしリスクが読みにくいから投資すべきではない、と主張が続くなら「それは違う」と返しますが。
投資全体を見回してリスクが読みやすい商品があるかどうかは横におくとして、クラウドファンディングは見た目上の値動きがないためにリスクが顕在化せず、つまりリスクを定量化できません。
定量化できないリスクに対応する手段は、分散投資です。
リスクが定量化できないならすべてのファンドのリスクをほぼ一定と見なし、幅広くファンドを分散することでうち1つ2つが吹き飛んでも全体でリターンを取れればいいと考える。これがクラウドファンディングにおけるSALLOW流のリスク管理方法です。
実際のところ「この案件ならまず大丈夫」と思うファンドはいくつかありますが、そうしたファンドの利回りはだいたい控えめです。堅いと思われる案件のみに投資するのも手法の一つですが、私の場合は低利率案件にも高利率案件にも投資することで全体のリターンを増す方針を採っています。
こう考えるとクラウドファンディングは、不動産や金融の専門知識がない方がうまくいく投資なのかもしれません。そういった知識を持っているとリスクやデメリットばかりが目に付き、自縄自縛に陥りかねないからです。
クラファン投資の秘訣
十数年クラウドファンディング投資を継続し、FIRE後も生活費や税金を支払った上での年次リターンで常にプラスを維持している&資産もゆっくりと増えている私の経験上、クラウドファンディング投資に本気で取り組む上の秘訣は2点に絞られます。
・事業者も投資対象もひたすら分散しろ
・明らかに見えてる地雷だけは避けろ
後者の例は某大家さんです。対面販売+地上波CMを行っていたため、ネットによる検索に慣れていない層を呼び込んだことで問題が大きくなりましたが、ネットで検索していれば回避できた地雷でしょう(私も以前に別件で地雷を踏んだことがあるので、自戒を込めて)。
クラウドファンディング投資は上記2点を守ればほぼプラスリターンが出るので、ある意味イージーな投資と言えるかもしれません。
ただしキャピタルが取れないので資産が急速に増えることがないという特徴、分散により管理工数が増え煩雑になるという問題や、本気で取り組むなら雑所得の問題にどう対応するかという難しさはあります。
これらの管理や対応を苦痛と思うか楽しみと思うかが、クラウドファンディング投資に向くかどうかの分かれ目ではないかと考えています。


