今回は不動産投資型クラウドファンディング全体の話。不特法の改正の話題と、不動産クラウドファンディング協会による募集チェックリストの話題を紹介します。

<目次>
不特法改正(4/26までパブコメ)
不動産投資型クラウドファンディングと重要な関係のある不特法改正に向けて、「不動産特定共同事業法施行規則の一部改正案に関する意見募集について」が、3/26に発表されました。
2026/4/26まで、パブリックコメント受付中です。せっかくなので私もパブコメ入れておきました。
大きな変更としては「第43条16の2」と「第40条の5&第43条45の2の二」だと思います。
「第43条16の2」をざっくり訳すと「開発型ファンドにおいては工事の詳細、資金計画、スケジュールを示すこと」。
「第40条の5&第43条45の2の二」をざっくり訳すと「利害関係人への売却では、不動産鑑定士による鑑定額での取得価格・売却価格の合理性を明らかにすること」になると思います。
実務的には、フェーズ移行時に一旦不動産を買い戻すような場合には影響しそうです。スキーム自体が健全であればいいのですが、新規資金で元ファンドを償還するような場合はかなり厳しく見られるようになるのではないでしょうか。
今回の法改正は経緯的にみんなで大家さん問題をメインターゲットとしているのは明らかで、大きな改正の一つとして三為型を不特法で捕捉する改正になっています。ファンドが健全で持続可能であれば特に問題ありませんが、恣意的に作られた利回り案件は継続が難しくなるでしょう。
(ただ利害関係人に該当しない場合は抜け道があるので、もし悪い事を考える人はここを突いてくるのは予想に難くありません)
その他には想定利回りの根拠開示、対象不動産の水害ハザードマップ開示、財務管理報告書の情報充実(出資金の使途、工事スケジュール、資金計画など)、Web上の情報充実(利害関係人取引、造成や建築工事の内容、想定利回りの根拠)などが改正予定となっています。
募集チェックリスト
上記の法改正パブコメとほぼ同時、2026/3/27に不動産クラウドファンディング協会・不動産特定共同事業者協議会が「不動産特定共同事業に係る商品募集画面のチェックリスト」の策定を発表しました。
これは上記の法改正を踏まえて、より具体的に「ファンドを募集する際どのような内容を情報開示すべきか/しなくてはいけないか」を示したものです。チェックリストの作成には私も一応絡んでます。
チェックリストの一部は任意組合型と匿名組合型に分けられていて、項目の中でも特に重要(必須)なものは「A」の印が付けられています。
不動産クラウドファンディング協会は会員事業者がチェックリストを守っているかをチェックし、以下の施策を検討しています。
・2026年夏頃を目途にチェックリストの見直し、及び罰則規定の適用
・投資家にとって分かりやすい開示を行っている事業者を「優良事例」として公開
・チェックリストを遵守していることを対外的に示す「認証マーク」の付与
所感
「不動産特定共同事業に係る商品募集画面のチェックリスト」について、以下所感です。
チェックリストは誰のためのものかと言えば、もちろん事業者のためのものですが、同時に投資家のためのものでもあります。
不動産投資型クラウドファンディングに本腰を入れて投資するなら、投資家自身がチェックリストを読んで理解し、判断することが重要です(できれば法改正も、改正概要の部分は読んでおくべきだと思います)。
上記の法改正やチェックリストが整備されても、今後も問題となる事象は残念ながら発生するでしょう。何をどうしても悪人(この表現が言い過ぎなら、行儀の良くないプレイヤー)が入り込むことは防げませんから、投資家自身が知識を付けて自衛することが重要です。
チェックリストは万能でもなければ正解でもありません。チェックリストに準拠したファンドでも遅延や損害は起こり得るでしょうが、チェックリストの内容(特にAの必須項目)に大きな不備があるなら、そのファンドへの投資は避けるのが吉です。
以下、私が勝手に匿名組合チェックリストの「A(必須)」項目を中心に、ファンドで見るべき点を要約したものです。抜け落ちがあるかもしれませんので、必ず自身でご確認のほどを。
・想定利回りの内訳(インカム/キャピタル)や分配金の原資、その実現性を示す根拠
・想定売却価格の根拠(鑑定評価額等又は近傍類似取引事例)
・商品の類型(賃貸型・開発型)、融資の有無
・利害関係取引、マスターリース、再募集の表記
・対象不動産の情報(住居表示又は地図による図示)
・開発案件のスケジュール、資金計画、進捗状況
・物件の現況やパースについての写真(周辺写真やイメージなどでごまかさない)
・投資家側と事業運営側の間に、大きな利害対立がない(個人的に最重要)

