ECF(株式投資型クラウドファンディング)サービスの一つ「ユニコーン」で、がん治療の切り札となり得る治療法を提供する会社の案件が登場しました。
日本人の2人に1人はがんと診断される今日、世の中にとって重要な案件になると思います。
<目次>
「リンパ球バンク株式会社」募集要項
今回ユニコーンで募集が予告されているのは、「リンパ球バンク株式会社」です。
・リンパ球バンク株式会社
募集期間:7/12 18:00~7/19
募集金額:800万円(上限5,000万円)
募集単位:2株(10万円)~10株(50万円)
リンパ球バンク社が提供する治療法は、ANK(Amplified Natural Killer:増強型ナチュラルキラー細胞)を用いた免疫療法です。
生物学分野はそこまで専門でなかったのですが、一応さわりくらいは知っていますので内容について紹介していきます。
がん細胞とNK(ナチュラルキラー)細胞
人間の身体には様々な免疫システムがありますが、そのうちがん細胞に対して効果を発揮するのがNK(ナチュラルキラー)細胞と言われるリンパ球です。
*一応T細胞やマクロファージもがん細胞への攻撃力はありますが、主たる役割はNK細胞だったと思います。
NK細胞は物騒な名前通りの機能を持っており、全身をパトロールしてがん細胞やウイルス感染細胞など「普通と違う細胞」を見つけしだい攻撃する、という役割です。
ただがん細胞側も強力な免疫抑制機能があるため、NK細胞の活性が低いと十分に排除ができません。
そのため、NK細胞を人為的に増強・増殖させ人体に戻すANK免疫細胞を用いることで、あらゆるがんに適応できる治療法を作ろうとするのが今回のECF案件です。
NK細胞の活性化と増殖を同時に実現させる技術は非常に難易度の高いもので、職人的な技術を必要とします。
現在のところ、その技術を持っているのはリンパ球バンク株式会社だけとのことです。
実績と事業計画、所感
リンパ球バンク社のANK免疫細胞療法は、2022年3月末時点で3408例の実績があります。
様々ながんの治療に使われていることから、ANK免疫細胞療法が一定の効果と実績を挙げていることが分かります。
*ちなみにがんにおいては、治療効果判定基準を出すことは極めて難しく現実的ではありません。人体実験でもすれば話は別ですが・・・
少し前の話ですが、ANK免疫細胞療法については海外投資家も注目している、というニュースがPR TIMESにありました。
現在のところANK免疫細胞療法は保険適用外ですが、今後保険適用に向けた承認申請、培養業務の請負ビジネスなどを進めて事業規模を拡大し、2025年度のIPO(上場)を目指すという事業計画になっています。
課題としては、今のところ同種の技術は他にないようですが、これからもないという保証はなく別種の技術が出てくる可能性もあるということ。さらに株主構成が複雑であることが挙げられると思います。
株主優待とエンジェル税制
今回のリンパ球バンク社案件には、株主優待が用意されています。
投資金額に関わらず、がん治療に関する冊子『イラストでわかるANK免疫細胞療法』をプレゼント。
さらに投資上限金額である50万円を投資した場合、ANK免疫細胞療法1クール(12回点滴分)の治療を申し込む際に利用できる、5万円の優待券が毎年届くとのこと。さらにこの優待券は本人のみならず、知り合いでも使用できます。
なおANK免疫細胞療法1クールのお値段は、医療機関によっても異なりますが概ね400~500万円ほどのようです。