クラウドファンディングに、新しい動きがありました。
ブロックチェーンを利用した、国内初の個人投資家向け不動産STOです。
内容を紹介します。
<目次>
STOとは何か?
その前にまず、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)について軽く紹介します。
ブロックチェーンにより管理されたデジタル証券のことを、ST(セキュリティ・トークン)と呼び、その証券による資金調達方法をSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)と言います。
なお、「セキュリティトークン」の対義語は「ユーティリティトークン」です。
この二つのトークンは、投資性の有無により分けられます。
ユーティリティトークンは投資性が無く、何らかのサービスにアクセス(利用、関与など)する権利として扱われます。一方でセキュリティトークンは投資性があり、その背後にはトークンの価値の裏付けとなる資産が存在します。
STOをクラウドファンディングに用いることにより、以下のようなメリットが期待されます。
・偽造が難しいブロックチェーンを用いることで、投資家の持ち分の安全性が高まる
(自身の出資持ち分を証明するのに、第三者の証明の必要がない)
・持ち分譲渡の利便性も高まる
(スマートコントラクトを介することで、譲渡時の当事者の債務不履行を防ぐことができる)
日本初、不動産STOを実施したのは?
個人投資家向けには日本初となる不動産STOを行うことになったのは、まちづくり参加型クラウドファンディング「ハロー!RENOVATION」を運営する、エンジョイワークス社です。
スキームには、Securitize Japan社・LIFULL社によるSTOを利用。
エンジョイワークス社は、投資家からの出資に対し、セキュリティトークンを発行。
出資者に利便性・安全性の高いスキームを提することで、「ハロー!RENOVATION」の拡大発展を目指していくとのことです。
STO適用案件の紹介
国内初となった不動産STO、その記念すべき案件第1号はこちらです。
予定利率:2%~
目標金額:1,500万円
運用期間:4年3ヶ月
特典:利用割引券など
https://hello-renovation.jp/renovations/project_summary/6814hello-renovation.jp
神奈川県葉山町にある古民家を再生し、宿として復活させようというプロジェクトです。
このプロジェクトに対して、ブロックチェーンを利用したSTOを用いる、というニュースは下記から読むことができます。
利用するブロックチェーンは、イーサリウムです。
ブロックチェーンを、お金(仮想通貨)以外の目的に利用する取り組みは色々と行われているようですが、イーサリウムが応用事例が多いとのこと。
イーサリウムが、ブロックチェーンと結び付いたプログラム実行機能を持っていることが、応用事例が幅広い理由の一つだと思います。
今後の動きとSolidity
今回の案件では、「Securitize JapanがLIFULL HOME'Sに提供している、不動産特定事業向けのSTOプラットフォーム」を、エンジョイワークス社が利用した形。
クラウドファンディングにとっては、新しい動きと言えるでしょう。
ICO(イニシャル・コイン・オファリング:仮想通貨の発行による資金調達方法)で起きた様々な問題を受け、証券規制に従う形で行われる資金調達の形として生まれたのがSTO。
それがクラウドファンディングと出会い、どんな効果や作用を生み出すか、注目していきたいと思います。
またもう一つ気になっているのは、イーサリウムのプログラム言語であるSolidity。
プログラム言語を学び身につけることは、現在でも大きな可能性と将来性を秘めていますが、その有力な言語にSolidityが加わるのも遠くはないように思います。
それとも、すでに業界では当然のことなのでしょうか?
Solidityを覚えれば、自前でDapps(自律分散型アプリケーション)を作成することもできます。
少し調べてみましたが、構文的にはJavaScriptと似ているところもあり、そこそことっつきやすい言語のように感じました。