融資型と不動産投資型は、同じクラウドファンディングでもこれまであまり接点がありませんでした。
その提携を視野に入れた動き? と思われるものがありましたので、紹介します。
<目次>
新宿区収益不動産担保付きファンド
融資型クラウドファンディング事業者の「SAMURAI FUND」で近日中に募集されるのは、「新宿区収益不動産担保付きファンド」。
名前の通り、不動産担保を取った上での融資型ファンドです。
・新宿区収益不動産担保付きファンド
募集開始:4/9 12:00~
予定利率:4.0%
運用期間:6ヶ月
募集総額:4,920万円
担保など:不動産担保あり(後述)
条件は6ヶ月4%と標準的。詳細について説明します。
案件の詳細
担保は新宿区戸山にある1棟アパートで、原価法・収益還元法による評価額は5,500万円(LTV:89.5%)。原価法と収益還元法のどちらが評価額に用いられているかはデータがありません。
また以前に募集されたSAMURAI FUNDの案件とは異なり、第三者による保証が付いていないことは注意が必要だと思います。
LTVは高め、利率4%という条件が少し寂しいと思いますが、余剰資金があれば投資してもいいと思います。
理由は、今回の貸付先がグローベルス社であることです。
グローベルス社について
グローベルス社について、少し複雑ですが紹介します。
今回の貸付先のグローベルス社は、以前はSAMURAI &J PARTNERS(現社名:Nexus Bank)と提携をしている、KeyHolderのグループ会社でした。
そのNexus Bankのグループ会社の一つが、貸付元であるSAMURAI FUNDを運営しています。
2020年9月の時点で、グローベルス社の株主は東証2部上場のプロスペクト社に移り、グローベルス社とNexus Bankの提携は一度切れましたが、その後Nexus Bankと関係が近い日本保証社と提携し保証付きファンドを組成するなど、一定の関係性はあるようです。
グローベルス社は不動産投資型クラウドファンディングの「大家.com」を運営しており、つまり今回の融資ファンドは、「融資型の営業者が、不動産投資型の営業者に資金を融資する」という仕組みになっています。
融資型と不動産投資型の提携?
基本的に融資型の事業者(多くは貸金業者)と、不動産投資型の事業者(多くは不動産事業者)は基盤となる職種が異なるため、これまではどちらかと言えば没交渉の印象でした。
今回のファンドは、異なるクラウドファンディングの提携の先駆けとなるのかどうか、今後に注目です。
同時に、SAMURAI FUNDはmaneoからプラットフォームを引き継いだ形となっており、maneoにはまだ多くの遅延案件が残っています。
遅延を起こしたのはあくまでもmaneo関連でSAMURAI FUNDではなく、しかも回収業務はパルティール社という別の会社が担当しているのですが、いずれもmaneo関連と同一視してしまう人もいるでしょう。
こういった過去の負の遺産がどうなるかについても、動きがあれば随時記事にしていきたいと思います。