投資における複利効果は絶大です。これはまちがいのない事実。
それを踏まえた上で、個人の考えとして「複利より大事だと思うもの」を紹介します。
<目次>
人類最大の発明、複利
一説には資本主義社会の急成長を見たことにより、そのように発言したとも言われています。
複利効果の源泉は「利息がさらに利息を生む」ことであり、投資においては長期になればなるほどこの効果が明確に表れてきます。
実際にグラフで表すと、100万円を単利5%で運用した場合30年後の資産は245万円ですが、複利5%で運用すると412万円と、約1.7倍の差が付いています。
投資において複利効果は有効である、これはまちがいのない真実です。
自分の経験から考えてみる
一方で、自分の経験から考えてみます。
私は10月末でFIRE達成をしていますが、それまでの10年間の資産推移は以下のような変化になっています。
青い線が資産推移、黒い点線は最初の頃の資産の伸びを直線近似したものです。横軸は10年分です。
見ての通り、青い線と黒い点線は大きな乖離にはなっていない、つまり複利効果はそれほどでもないということになります。
先ほどの単利vs複利5%の比較でも、10年後の資産の差は1.1倍未満ですので、10年では複利効果が十分に発揮できないという考え方もあるでしょう。
しかし30年間にわたって投資スタイルを継続できる人間ばかりではなく、30年間にわたって「妥当な投資方法」が変わらないという保証もありません。
さらに長期になればなるほどリスク(=リターンの不確実性)が増すことを考えれば、複利効果は重要な要因ではあるものの、過信は禁物だと考えます。
複利よりも大事なもの
私の投資スタイルはここ10年で大きく変わり、10年間の前半は株や投資信託メイン、後半はクラウドファンディングメインの投資をしています。
個人的に思うことは、複利効果は投資やビジネス拡大の領域ではまちがいなく重要ですが、資産構築という領域で考えた場合はさらに大事なものがある、ということです。
例えば投資の調子が悪い時に、ちょうど海外に行くことになり給与がブーストしたことがあります。
投資や給与とともに副業を行うことで、資産が積み上がっていったのも事実です。
資産構築という大きな領域で考えた場合、給与所得だけに依存することが危険であるのと同様、投資だけに依存するのもまた危険です。
複利よりも大事なものは、分散。
投資の対象と同様、所得の源泉も分散すべきというのが、私のこれまでの教訓です。
FIREにおける堅実さ
最近聞かれるようになったFIRE(経済的自立と早期退職)は、世間で言われる「堅実な生き方」とは見なされないでしょう。
しかし対照的に、FIREに至る道は多くの場合において堅実な道だと思います。
もちろんFXや暗号資産などで一山当てて、20代、30代の頃からFI(経済的自立)を達成した人もいるでしょうし、そういった人はメディアなどに登場する機会が多いので、存在感が大きくなる傾向があります。
しかし自分も「そうなれる」と考えてしまうのは、危険なバイアスです。
ハイリターン投資における一握りの成功者の裏には、日の目を浴びることの無かった数多くの失敗者がいます。自分が成功者の側になれるという根拠無き自信は、ただの毒にしかなりません。
労働による収入増加・支出の抑制・投資等を組み合わせて、着実で計画的な資産運用を行うというのが、一般性のあるFIREへ至る道ではないかと考えています。
比喩的に表現するなら、FIREとは達成に至った時に「QED」、つまり「以上が(FIREという結果を)証明されるべきものであった」と言えるような道であるべきではないでしょうか。