今回はFIREに関する雑記を一つ。
世の中に出回る「再現性のない」FIREへの注意喚起と、再現性のあるFIREの方法についての私の意見です。あ、ちょっと黒ウサギモード入りますのでご注意を。
<目次>
再現性の【ない】FIREにご注意
FIRE(Financial Independence, Retire Early、経済的自立と早期退職)という情報は、ネットに多く出回っており検索すればすぐに見付けることができます。
ただその中には、再現性のないFIRE(あるいはFI)も多くあります。
再現性のないFIREで真っ先に思いつくのは、高ボラティリティの商品で一発当てて資産を築いた場合ですが、それだけではありません。
相当の高収入や事業で成功した場合、あるいはそもそも家の資産が多いなど、一般人ではなかなか真似することが難しい特殊属性を持っている場合も、再現性のないFIREと言えると思います。
別に再現性のないFIREが悪いと言っているわけではありません。資産構築は競うものではなく人それぞれだからです。というか、そういうFIREしてみたかった。
問題になるのは、そういった特殊な背景を隠して「誰でもFIREできる」と言い、情報商材等に誘導する場合です。
この場合は自分の欲望のために他者を邪魔し、あるいは道を見誤らせる行為であり、当然のごとく批難されるべきでしょう。
こういった再現性のないFIREには、くれぐれもご注意を。
ただそもそも、誰かに憧れて目標にするのはともかく、「自分もあんな風になれる」と同一視してしまうのは毒にしかなりませんので、再現性のないFIREを信じ込んでしまう方も大概なんですけど。
私の背景を紹介
再現性のあるFIREについて書く前に、私がどうやってFIREしたかについて書いてみます。
私は2021年で資産構築に一定の目処を付け、その年の10月末に勤めていた会社を退職しました。FIREの「RE」には色々な定義があると思いますが、FIREを達成したと自称はしています。
一応上場企業に勤めていたのでそれなりの給料はありましたが、そこまで高給取りではありません。
具体的に言うと、海外工場でトラブルが発生し空挺部隊として数ヶ月駆り出された時、長時間残業(*)と手当てを加えてギリギリ年収(額面)1000に届くか届かないか、というくらいです。普段は推して知るべし。
*その頃は長時間残業の上限縛りは、事実上ありませんでした。
では副業や事業やっていたかというと、そこまでのこともありません。
ソーシャルレンディングの書籍を出版をしていくばくかの印税はいただきましたが、正直なところ書籍にかけた時間と収入を考えれば、その間残業していた方が実入りは良かったと断言します(笑)。
このようなブログの広告収入も、それで食っていけるほど甘い世界ではありません。
また生家の資産は、FIREにまったく寄与していません。というかいくらあるのか知りません。
投資についてはクラウドファンディングをやる前、政権交代~黒田バズーカの時に株で利益は上げましたが、利益額は税引き後で2,000万円ちょっと。20年も投資やってる人間としては、むしろショボい方でしょう。
FIREへの道筋
次に私がどうやってFIREしたかですが、別に特殊なことをやったわけではありません。ライフマネープランを作ったくらいです。
会社員だった頃の私が何でも屋でしたので、その何でも屋のスキルを社内のみならず社外にまで広げ色々な事に手を付けたのが、私のFIREにおける基本戦略です。
私が提唱し実践した方法は「自分会社」。
自分(家族)を一つの会社ととらえ、本業、副業、投資、節約や節税は全てこの会社の業務と考える方法です。
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労働でも投資でも、お金には色はありません。1円は1円です。
ですから一つの手段に固執せず、本業の収入を伸ばす、副業をする、投資もする、節約や節税もすると全ての方向に力を振り分けてひたすらぶん回していった結果、気付けばFIREしていたという次第です。
これは私の「何でも屋」スキルを生かしたものなので、再現性について微妙かと思われるかもしれませんが、地主や大会社役員の子どもに生まれることに比べれば十分再現可能な方法だと思います。
大事なのは取捨選択
もう一つ大事なのは、取捨選択だと思います。
例えば婚活市場において「相手は普通の人でいい」と言っても、年齢・年収・体格・学歴・性格・趣味・家族構成などすべてに「普通」を求めれば、それはすでに普通ではなく十分にハイスペックな相手です。
この落とし穴に気付かず「普通の人がいない」と嘆くのは、男女問わずあるある話。
同様に資産構築やFIREにおいても、普通の才能、普通の職業、普通の努力の人間が普通に暮らして普通にFIREできると考えるのは、大きな誤りです。
もしそんなことができるなら、世の中は今頃FIRE民で溢れかえってます。
実際そうなっていないということは逆説的に言えば、普通に稼ぎ普通に使っていればFIREはできないということ。
ではどうすればいいかというと、その答えも婚活の例えの中にあります。
欠点に目をつぶった方が婚活が成功しやすいように資産構築に関しても、自分の願望や幸せについて「一部をあきらめる」ことがFIREへの道程を短いものにします。
もちろん大きな収入や資産、素晴らしい投資成績の方はこの限りではありません。これはあくまでも、私を含め傑出した能力も入金力も持たない人間のためのFIRE戦略です。
そして色々と熟慮した結果、FIREそのものを中止するという結論でもいいでしょう。自分で納得して選択している限りにおいて、選択肢は全て等価であり優劣を比べる類のものではありません。
FIREは遠きにありて思うもの?
最後に、まがりなりにもFIREした人間から、FIREを目指す人にお節介ながらアドバイスを一つ。
FIREは「結果」とすべきであり、「目的」にしてしまうのはあまり良くないと考えます。
ライフマネープランを作成することは重要ですが、その先にあるFIREという目標は薄目でぼんやり眺める程度が良く、FIREを何が何でも達成しようとギラギラした目で追いかけていると、思わぬところで足を掬われてしまう結果にもなりかねないからです。
資産構築や人生の道程を楽しみ、「気付いたらFIREしていた」くらいの感慨のないゴールテープの切り方が、無理のないFIREと言えるのではないでしょうか。
言わばFIREは、遠きにありて思うもの。
それが「悲しくうたうもの」にならないためのコツだと思うわけです。