FIRE(経済的自立と早期退職)についての雑記。
数年前からFIREという言葉はインターネットを飛び越え、地上波の世界でも時々見るようになりました。そんな中でちょっと気になったことを書いてみます。
<目次>
定義の振り返り
釈迦に説法となってしまうかもしれませんが、まず最初にFIREの定義についておさらい。
以前に調べたことがあるのですが、FIREの概念が生まれたのは1992年のベストセラー本「Your Money or Your Life」が始まりのようです。
この書籍の前提は、「自分の人生の時間(寿命)に対して、仕事で費やされた費用と時間を並置すること」。
つまり人生とは時間を切り売りして費用を稼ぎ出す行為であり、ゆえに「お金か寿命か?」が本のタイトルになっているわけです。
ここから生まれたのがFIREという考え方で、時間をある程度切り売りして費用を稼いだら、その後は自分の人生の収穫期を迎えようという内容になります。
ちなみに今でこそFIREにはいくつもの方法が提唱され名前が付いていますが、下記の記事を見る限り初期のFIREについては、「一般的に考えて厳しめの節約ライフスタイル」を軸にして一気に資産を貯めるという方法であることが分かります。
「いつ節約するのか」の誤解
もっとも、どのようにして財を成すかは十人十色なので、誰もが厳しい節約をしなければならないわけではありません。
「手元に残る資金=収入マイナス支出」という公式は真理であり、毎年毎月の黒字を積み上げていった向こう側にFIREがあるのも事実です。極論、資金がうなるほどあれば支出など気にしなくてもFIREできるでしょう。
(そんな能力と立場がある人がFIREするかどうかは別問題ですが)
ただ最近では、FIREにおける節約というものに誤解があると感じています。
簡潔に言えば、FIREにおける節約というものは、FIREの達成手段ではあっても持続手段ではありません。つまりFIREを達成した後において、本来節約という考え方はない(*)はずです。
*節約の考えがない=浪費、ではないところに注意
一般的に考えてかなり厳しい節約をしなければ成立しない生活というのは、持続可能性が高くないRE(早期退職)に過ぎず、少なくともFI(経済的自立)を名乗るべきではないでしょう。
それでもFIREなんだと本人が強弁するだけならご勝手にどうぞですが、メディアがそれを取り上げてFIREと呼ぶのはさすがにどうなんだろうと思ってしまいます。
なんというか、「FIREした」として出演している当人が見世物のように思えてしまうのが、いやはや。
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FIとREはセットではない
本記事のタイトルに戻りますが、そもそもFI(Financial Independent)とRE(Retire Early)は分けて考えるものです。
FIは資産を積み上げた結果としての客観的事実であり、REは個人の意思による選択の結果。こう考えれば、FIとREはそもそも別物であることは明らかです。
人生には様々なアクシデントが付きもので、9割方の不幸はお金で解決でき多くの満足はお金で買えることを考えれば、FIは誰しもが目指すべきものでしょう。一方でREについては、選択も定義も個人の自由(もっと平たく言えば、本人の勝手)です。
REを今勤めている会社を辞めることと定義してもいいでしょうし、フルタイムの働き方からの卒業と定義してもいい。今後一切働かないという極論でも構いません。REは各人ごとに幅広い解釈があっていいと思います。
一方で、FIの定義は自由というわけにはいきません。FIは「経済的自立」という客観的事実があるからです。意に沿わない内容や時間での労働がなければ経済的に自立できないのなら、それはFIではありません。
(そうなるとサイドFIREはどうなるんだという議論にもなりますが、「意に沿わない~」のくだりはサイドFIREでも同じだと思います)
FIREの本質
何をしてもしなくてもいい、という選択肢のある積極的自由がFIREの本質。
さらなる利益を求めてビジネスを始めてもいいし、どこかの会社に再就職してもいいでしょう。なんなら私みたいに日々ふらふら散歩しているのも自由。
そう考えるとREは「(意に沿わない労働/お金を稼ぐだけの労働からの)早期退職」と定義してもいいと思います。これならその後に何をするか、行動の部分は各個人に委ねられているわけですから。
一方でFIは前述の通り客観的に判断できる事実であり、FIが成立するためには厳しい節約や意に沿わない労働をすることなく生活を持続する必要があります。
たかだか億り人に指先ひっかけた程度の私がFIREの本質を語るのは笑い話ですが、FIとREについての私の考えはこのようなものです。
それと一応達成した者として追走者にアドバイスするとすれば、私を含めた凡人にとってFIREは長い道のりだということを忘れてはいけません。一足飛びで資産を築き上げるような都合の良い話は、世の中にそうそう転がっているはずはないんです。そういう話はだいたい嘘でたまにマジモンの詐欺が混じってます。
自分は選ばれた者でも何でもなくただの端役、という正しい自己認識は持っておくべきでしょう。そうすればうまい話が自分だけに転がり込むようなことはないと理解せざるを得ません。
自己肯定感と根拠無き自信の境目を認識することは、投資だけではなく生活全般にとって大事なことだと思います。