クラウドファンディングにおいて遅延が発生した案件、及び貸付先で事案が発生した案件の進捗を紹介する記事です。
今回の対象はオーナーズブックとバンカーズです。
<目次>
オーナーズブック「大阪市中央区ホテル素地第1号第1回」
オーナーズブックで長きに渡り遅延していた「大阪市中央区ホテル素地第1号第1回」が、どうにか落着する予定になりました。
以下、オーナーズブックの公式サイトに掲載されている情報を抜粋・引用します。
ロードスターファンディング株式会社(「営業者」)は、不動産保有会社AY(「本借入人」)と共に購入検討者との協議を重ね、本借入人と購入検討者との間で概略以下の売買契約(「本契約」)が締結されました。
・契約締結日:2023年11月29日。手付金受領済。
・決済日:2023年12月末日までに残額決済を行う
売買金額は本日現在投資残高707.1百万円を下回るものの、OwnersBook評価額634百万円を上回るものであり、本契約締結が妥当であると判断いたしました。
本ファンドは2019年9月に募集、本来の償還予定は2021年4月でしたから、2年8ヶ月となりました。
また売買金額は投資残高の7億710万円は下回るものの、オーナーズブックでの評価額6億3,400万円を上回るものとなったことから、最終的な回収率は90%強になりそうです。
投資額に対して1割弱の毀損はあったものの、新型コロナの影響もあり公示価格が下落している状況を考えると、まずまずの結果で終わったという感想です。
私はこのファンドに50万円を投資しています。今回のオーナーズブックの対応についての所感ですが、時間はかかったものの新型コロナ等の事情に鑑みれば致し方ないところがあり、やるべきことはやったと言えるのではないでしょうか。
もちろん、オーナーズブックは今回の件を受けて管理体制を強化し再発防止に努めるべきですが、一方投資家としては投資している限り損失は覚悟の上です。
バンカーズ「アミューズメント事業支援ファンド」
バンカーズの「アミューズメント事業支援ファンド」では、貸付先であるガイア社が民事再生法の適用を受けることになりました。私の投資額は50万円です。
(関連記事)
www.sallowsl.com
こちらの事案は2023年10月末に発生したばかりで、まだ1ヶ月しか経っていません。
バンカーズでは本件に関して現状はマンスリーレポートを出すことにしていますが、11月末のレポートでは回収や分配の方針について説明があっただけで、特記すべき進捗はありません。
本ファンドの担保としては、鑑定価格が貸付残高の1.5倍以上の不動産があります(借地権付きというのが若干気がかりですが)。この不動産を今後どのように扱い回収を行っていくか、注目していきたいと思います。
注意点と大事なこと(再掲)
以下、前回記事の再掲です。
バンカーズが詳細情報について公開禁止となっているのは、債権回収手続きという機微な問題のため。
詳細な回収手続きや進捗が表に出てしまうと、バンカーズよりも弁済順位が低い債権者が横槍を入れてくる可能性があり、下手をすると担保について抵当権抹消登記請求訴訟等を起こされる恐れもあります。
もちろんそんな訴訟はスラップなので勝訴できるでしょうが、償還が遅れる原因になることに間違いはありません。なので公開禁止が付されているのは当然のことで、公開禁止を否定したり反した行動を取るのは回収手続きの妨害行為であり、最悪のケースでは禁止を破った当人が訴訟される可能性すらあることにはお気を付け下さい。
またこういうことがあると事業者を叩く意見が出てくるものですが、投資家側にはいついかなる時も「投資しない」という自由がある以上叩くのは筋違いだというのは明言しておきます。事業者そのものがやらかしたのならさておき、本件は事業者のリスク分析で融資先信用力が激低とされており、そのリスクが顕在化しただけなのですから。
(事業者は管理体制の強化と再発防止を行うべきですが、それとこれとは別問題です)