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投資において、「どこまで」をリスクと考えるのか?



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先日のことですが、X(旧Twitter)のタイムラインにとあるニュースが流れました。

私自身が直接影響を受けているわけではないのですが、日本最大級の投資詐欺事件に発展する可能性のある事件なのでウォッチをしていたものです。


<目次>

 
 

事のあらまし


今回のニュースは、合同会社エクシアに関するもの。

損害規模が最大で数百億円の後半から1000億円以上になるのではないかという、本邦最大規模の投資詐欺が疑われる案件です。


実際にどのようなことがあったかは検索すれば出てきますが、金融商品を取り扱う上での認可等をすり抜けることができる「合同会社スキーム」(*)を悪用して巨額の資金を集めたものです。

合同会社スキームそのものは何も怪しくない適法の仕組みです。そのため同スキームを「利用」ではなく敢えて「悪用」した、と書きました。


通常投資家から資金を集める場合、金商法等による規制や監視を受けます。不動産投資であっても対象となる法律が不特法等に変わるだけで、本質的には変わりません。

一方で合同会社スキームを用いる場合、投資家は合同会社の社員となるため金商法や不特法等の規制や監視を受けません。社員はあくまでも会社に出資をした者という立て付けになり、出資金は会社と一蓮托生となるからです。


(合同会社スキームの注意喚起)
www.fsa.go.jp



そして先日のニュースは、合同会社エクシアがついに飛んだというものです。


直接影響を受けていない私が所感を言うのは短慮なことと思うので省略しますが、今後この事件が民事だけでなく刑事として立件できるかどうか、引き続きニュースを追っていくつもりでいます。
 
 

年利**%は怪しい?


こういった騙しの話が出てくるたび、良く聞かれるのは「年利**%の投資は怪しい」「詐欺に決まっている」といった言説。

ぱっと見たところ妥当な意見のように見えますが、実際は誤りです。正確に言うなら「年利が高い投資には相応のリスクがある」と言うべきでしょう。


「年利が高い投資=怪しい、詐欺」とイコールで結ぶのなら、2023年12月からの70日で+55%(年利換算で300%弱)の$NVDAは詐欺ということになってしまいます。もしも個別株は例外であり詐欺や騙しには当たらないと主張するのなら、これまでに不祥事や粉飾決算をやらかした会社は存在しないと主張しなければならないことになります。


 NVIDIA
 (引用元:https://www.nikkei.com/nkd/company/us/NVDA/chart/?type=3month


クラウドファンディングを例に取っても、年利10%くらいの案件は探せばあります。ただそういった高利率の案件には相応のリスクがありますし、単独のファンドで年利10%を達成しても長期間にわたって高リターンを継続するのは難しいでしょう。


「年利**%の投資は怪しい」というのが「実際には誤り」だと書いたのは、この点をごっちゃにしているからです。

個別に見れば高利率の投資案件が成立する妥当性は十分にありますが、そういった高利率案件「だけ」に集中投資すれば、いずれはどこかでコケる時が来ます。


ただコケる事は悪いことではありません。十分に分散されている前提なら、年利3%デフォルトゼロの投資よりも年利5%デフォルト1%の投資の方がリターンに優れているのは自明の理です。
 
 

どこまでをリスクととらえるか?


 ソーシャルレンディング投資記録


先ほど「年利が高い投資には相応のリスクがある」と書きました。

本記事の本題ですが、このリスクとはどこまでを考えればいいのでしょうか?

私は投資におけるリスクとは「騙しの被害に遭うリスク(≒騙しかもしれない投資を選ぶリスク)」も含むと思っています。


前述の通り、投資における騙しとは今回のエクシアのような例だけではなく、会社の不祥事や粉飾決算も含みます。もしも騙されたくなければ、あらゆる投資を選ばず円100%フルベットしてインフレに怯え暮らすしかないわけです。



もちろん明らかに詐欺と分かるものは回避すればいいのですが、世の中そんな善良にはできていません。騙しと分かって騙される人が少ない以上、騙しは善人の顔で近づいてくるものです。

投資をする以上、騙されるのは覚悟の上。

自然災害や不幸と同じく、いつかどこかで降りかかるものと思わなければいけません。自然災害と違うのは悪意の有無くらいのものですが、悪意があろうがなかろうが損害は損害です。


騙されるのも勉強、損害を受けるのも勉強。人生は無数の失敗でできているのですから、投資でだけ失敗したくないというのは虫の良すぎる考えでしょう。

重要なのは騙された損害が致命傷とならないよう、分散などの備えをしておくこと。それは自然災害に対する備えと同じです。


 
 

投資は玩具箱


念のために言いますが、エクシアを擁護するつもりはありません。


単にお金が絡む投資の世界では大なり小なりこういう事が起こるものであり、それを「けしからん」としたところであまり意味がないと言いたいだけです。

世の中が理想だけで回ると夢見ていいのは、どんなに譲っても義務教育まででしょう。


(関連記事)
www.sallowsl.com



以前にも書いたことがありますが、投資は大人のための玩具箱です。

子ども向けのオモチャとは違い、中に入っている金貨や宝石等(リターン)はホンモノですが、飛び出してくるナイフやお化け(リスク)もホンモノです。投資とは自分の資産を適切なリスクに晒して、その中からリターンを得る行為に他なりません。

そのリスクの中、たまには騙されるも損害を受けるも一興。皆様どうぞご安全に。


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