今回はクラウドファンディングから少し離れた話題で、国内初「トークン化債権マーケットプレイス」がサービスを開始したという内容です。
「トークン化債権マーケットプレイス」と言ってもピンと来ない人が多いかもしれませんが、分かりやすい表現を思いつきました。要はこれ、**です。
<目次>
トークン化債権マーケットプレイス「MoneyFarm」
【MoneyFarm 公式サイト】(広告リンク)
Money Farm(マネーファーム)は、「お金を育てる=資産運用」をより身近に楽しみながらチャレンジできることを目指したサービスです。
Farmの名前通り、イメージしているのは農場。
投資活動を「農場に種をまき、収穫時期に育ったお金を受け取る」という感覚的に理解しやすい形に落とし込んだサービスですが、同時に最先端の金融を気軽に楽しめる新しい仕組みとも言えます。
運営会社は「株式会社3rd Economy」。
新規事業開発やイノベーション創出を共創・支援する「事業共創カンパニー」、Relicホールディングスのグループ会社で2023年9月に設立されたベンチャー企業です。
relic-holdings.co.jp
実はRelic社とは以前に少し関係があり、いくつかの記事を寄稿したこともあります。先端金融の世界はなかなか狭いんだなー、というのが素直な感想。
結局、どんなサービスなのか?
MoneyFarm(マネーファーム)のサービスは、販売されているファームチケットを購入し、一定期間(画面上では収穫期)において対応する金銭を受け取れるというもの。
チケットは金銭債権をトークン化(≒小口電子化)したもので、取引内容はブロックチェーン上で管理することでトークンと現実の資産が連動する仕組みとなっています。
これだけではピンと来ない方がいるかもしれませんが、簡単に言うとこの仕組みは「小口・電子化された手形購入」です。
通常手形を期限前に現金化する(手形を割る)際は金融機関などが行い、金融機関は対象となる手形をディスカウントで購入する代わり、期限が到来した場合は手形の額面を満額受け取る権利を持ちます。
この仕組みをブロックチェーンを用いトークン化することで、個人でも金銭債権を購入できるようにしたのがMoneyFarmです。権利関係や仕組み的に荒削りなところはあるものの、面白いサービスであることに間違いはないでしょう。
法的な立て付けや仕組みについて
MoneyFarmの運営会社である3rd Economy社とは先日ミーティングを行っており、詳細な仕組みについて聞いています。
まず法的な立て付けですが、本サービスは暗号資産と同様ブロックチェーン上で取引されるNFT扱いとなり、融資ではなく金商法や資金決済法には相当しないため、監督官庁は基本的にはありません。
ただ仕組み上集団投資スキームに近いため金融庁との調整を行い、金商法に準じ取り扱っていくとのこと。またKYCや投資家保護も金商法商品と同様に進めていくとのことでした。
利用するブロックチェーンはPolygon→publicチェーン、ただし当初は個人ウォレットには移らないためほぼクローズド。
それならブロックチェーンである必要は? とも思いましたが、ブロックチェーンを利用するのは後々の拡張性を視野に入れてのものであり、非中央集権型にするつもりは今のところないと話していました。
またチェーンにのせる情報は当面、必要最小限の取引記録のみとする予定とのことです。
投資家側にとってのメリットは、これまではファクタリング会社が限られていたところ、小口化・電子化を利用することでより安いコストで金銭債権を入手することができる点。MoneyFarmは平均的な利回りを7%相当と見込んでいるので、分散投資先の一つとして検討する価値はありそうです。
なお「金商法や資金決済法には相当しない」事から薄々気づいてましたが、所得は「雑所得」扱いです。