海外専門の融資型クラウドファンディング事業者「クラウドクレジット」の話題です。
スタートアップの頃から多くの事業者の出資を受けてきたクラウドクレジットは今回、シリーズEとして再度の資金調達に成功しました。
その内容と気が付いた点を紹介します。
<目次>
シリーズEとは?
今回クラウドクレジットは丸井グループ、SFV・GB投資事業有限責任組合(SFV=Sony Financial Ventures、GB=Global Brain)から資金調達に成功しました。
SFV・GBは以前の出資、「シリーズD」でも投資を行っています。
このシリーズというのは、企業の成長段階に応じた投資ラウンドを指します。
企業がまだ創業間もないころ、まだ小さいころ、そして育っていくころではそれぞれ、最適な資金調達の規模、相手、手段は異なります。
そのため、企業の成長段階に応じて実施する内容、そのための資金使途を明確にし、それぞれのシリーズでまとまった資金を調達することになります。
このひとかたまりのまとまった資金調達が、シリーズA、B、C・・・と呼ばれています。
今回の出資に関する情報
今回のシリーズE出資に関する情報は、「INTIAL」で詳細が取り上げられていました。
これによると、シリーズEの予定調達金額は7億円とのことです。
また、今回出資を発表した丸井グループ、SFV・GB以外にも投資家を資金調達を進め、夏頃までにシリーズEを完了する予定とのこと。
調達資金の使途は、「ファンド管理体制の強化や顧客体験の向上のためのUI/UXの改善に係るシステム開発」と発表されています。

資金調達の理由は、一定のキャッシュを確保することと、足下の資金調達状況の悪化を見越してのことと説明されています。
上記の記事ではクラウドクレジットのバリュエーション(評価額)について、紙面を大きく割いて説明されています。
私を含め、ベンチャーやスタートアップ投資の経験が少ない投資家にはなじみのない言葉かもしれませんが、時間があれば読んでみることをお勧めします。
単月黒字化と、tsumiki証券との展望
今回の発表で気になった(気付いた)ことは3つ。
1つは、上記INITIALの記事で「シリーズE調達をやるかどうかを検討した」というくだりに書かれていたことで、クラウドクレジットは昨年の時点で単月黒字化を達成しているということ。
何回かブログでは取り上げていたのですが、クラウドクレジットの財務状況は出資頼みで黒字が出ていなかった(ベンチャー企業には良くあることですが)こともあり、これは良いニュースだと思います。
2つめは、丸井グループの100%子会社に積立投資を主に行う「tsumiki証券」があることです。
もしかすると、クラウドクレジットと証券会社の本格的な連携が実現するかもしれません。証券会社は第一種金商を持ち、広範な金融商品を扱えるため、海外案件を扱うクラウドクレジットとの相性は良さそうです。

今後の期待
最後に、これは所感です。
私見ですが、クラウドクレジットの発信する内容は他事業者に比べ、ベンチャーキャピタルなどからの出資が多いように思います。
もちろんそれは重要なことなのですが、その行き着くゴールは社会的インパクト投資やファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂:誰もが取り残されることなく金融サービスの恩恵を受けられるようになること)。
そして、そのための資金の供給元は、各個人投資家の資金です。
投資家の資金をいかに運用し、安定的なリターンにつなげていくか。
資金調達による事業拡大と個別案件の安定度を車の両輪として、バランス良く運営していくことが重要になると感じました。
実際にクラウドクレジットはファンドの運営体制強化を次々と発表しています。次の重要な課題は、これらの結果の刈り取りと効果の検証ではないかと考えます。
(5/26追記)提携の舞台裏が語られています
今回の資金調達に関して、提携の舞台裏を記したnoteが公開されました。
あまり普段の生活ではお目にかかれない情報を知ることができるものとして、投資家なら一読の価値はあると思います。
マルイグループと提携したということは、運営しているtsumiki証券とも何らかのコラボを行うのでしょうか。楽しみです。
また、上記noteの記事内にはSBJ銀行との提携の話題も出ています。銀行と提携するクラウドファンディング事業者は珍しい(初?)だけに、こちらも注目です。