先日、各社のロボットアドバイザーの比較を行った記事をアップしました。
この記事に、「バランスファンドと比較してみては?」とのコメントをいただきましたので、さっそく記事にしてみます。
さらに、他に比較して欲しいリクエストを2ついただきましたので、それも合わせて調査しました。
<目次>
バランスファンドの立ち位置
バランスファンドは、複数の資産に分散投資を行う投資信託です。その代表的な資産は、株式、リート(不動産上場投資信託)、債券の3つ。
ファンドごとにどんな資産を組み入れるかは異なっており、株式中心、債券中心、同じくらい、全ての資産を均等に、など色々なファンドが存在します。
株式一つを取ってみても、先進国株式・新興国株式・日本株式などが組み合わされており、一つの投資信託で世界分散投資が行えるという特徴は、ロボットアドバイザーと同様です。
ただし今回紹介するバランスファンドでは、金を組み入れたファンドは存在しません。この点はロボットアドバイザーと異なります。
機能面で見ると、バランスファンドにはロボットアドバイザーと同様、リバランス機能(保有資産の値動きにより保有割合がズレた時、自動で補正する仕組み)があります。
ロボットアドバイザーにあってバランスファンドにない仕組みは、税制最適化(含み益・含み損に逆をぶつけて相殺し、節税する仕組み)くらいでしょうか。
逆にNISAなどの節税手段は、ロボットアドバイザー(正確には、投資一任型ロボアド)では利用できませんが、バランスファンドの一部では利用可能です。
また、バランスファンドの信託報酬は年0.2~0.3%程度であり、年1%が基本のロボットアドバイザーよりも高い傾向があります。
バランスファンドとロボットアドバイザーの比較:
・組み入れ資産:基本的には共通しており、株式、REIT、債券など(ロボアドは金等も組み入れている)
・リバランス機能:両方あり
・税制最適化:ロボアドのみ
・NISA:バランスファンドの一部のみ
・信託報酬:バランスファンドは0.2~0.3%、ロボットアドバイザーは1%程度
比較する対象と期間、その理由
以前の記事では、過去6ヶ月(2020/03/01始値~2020/08/31時点終値)における、各種ロボットアドバイザーのパフォーマンスを比較しました。
コロナショックの底(3月中旬頃)に向けて悲観が強まった時期から、各国の金融緩和による株高が起きた時期までを選び、「値動きの激しい時期におけるAIの有用性」を調査しました。
結果としてはAIの有用性が確認されましたので、今回は同時期におけるバランスファンド+αとの比較を行います。
と言うのも、以前ROBO PROの説明会に参加した時、「AIによるリバランスが無ければ、パフォーマンスは10%くらい悪化する」という情報を聞いたので、その検証をしたかったからです。
比較する対象は、以下の通りです。
②と③はリクエストをいただきました。②は米国株100%でバランスファンドではないのですが、参考のため比較します。
①ROBO PRO(AI搭載ロボットアドバイザー)
②SBI・バンガード・S&P500インデックス
③セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
④Smart-i 8資産バランス(成長型・安定成長型・安定型)
⑤たわらノーロードバランス(積極型・標準型・堅実型)
⑥eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
⑦ニッセイバランス(6資産均等型)
比較条件と結果
比較条件は以下の通りです。
・比較期間:【2020/03/01始値~2020/08/31時点終値】における運用結果
・基準価額やパフォーマンスを直接比較する
*投信、ロボアドともに信託報酬は毎日や毎月、信託財産から差し引かれているため
・円建て比較
各投資信託及びETFの組み入れ商品内訳、信託報酬、価額及び増減は下記の通りです。
【】で囲われた赤文字は、この後のグラフで示す略語です。
まとめてみると、こうなりました。
以上まとめると、以下のようになりました。
あくまでも6ヶ月という期間での比較であり、期間が違えば結果もまた違うことを前提として、ROBO PRO強し。
3~8月のS&P500とほぼ同等のパフォーマンス、という結果になりました。
この当時のS&P500は、絶好調だったGAFAMの牽引により伸長していました。
それに対し、株式100%ではないポートフォリオで匹敵したという事実は、注目すべきでしょう。
所感と結論
以下、所感です。
個人的に注目なのは、株式中心型バランスファンドとROBO PROとのパフォーマンス差が約10%であること。
ROBO PROの説明会で聞いた、「AIによるリバランスが無ければ、パフォーマンスは10%くらい悪化する」という情報が、実証された形となっています。
つまりこの結果だけから判断する限り、バランスファンドに比べて高い手数料をROBO PROに払う意味は十分にあるということです。
*なお同時期における、日本最大のロボアド「WealthNavi」(広告リンク)の株式中心パフォーマンスは6.4%であり、こちらもバランスファンドより良い結果を残せています。
一方で振るわなかったのは8資産均等型や6資産均等型ですが、これはREITの入れすぎによるものと推測します。
最近のREITは振るわない動きなだけに、相対的に株式が少なく(≒債券が多く)、REITも多いポートフォリオでは、REITの値下がりを株式の値上がりでカバーできなかったということなのでしょう。
ロボットアドバイザーは一般論として、手数料が高いことがデメリットと言われます。
それは事実ですが、しかし手数料「のみ」を投資判断の材料として使うのは、適切とは言えません。
投資判断は、手数料を差し引いた総合リターンで語るべきものだからです。手数料を払ってでも、それ以上のリターンがあるなら投資判断としてはアリでしょう。
今回行った一連の比較で、ROBO PROの優位性がかなり分かってきました。
後はこれがどこまで続くか、投資を継続しながら定点観察を行っていきたいと思います。