不動産特化型のクラウドファンディング、オーナーズブックを運営する「ロードスターキャピタル社」の決算が、資料とともに公開されました。
主にクラウドファンディングに関係する部分を重点的に、紹介していきます。
<目次>
全体の状況
ロードスターキャピタル(以下、LSC社)の全体状況は、いずれも前年比で
・売上高 +12%
・税引前当期純利益 +30%
・当期純利益 +30%
と好調な状況です。
オーナーズブックの決算時期は2020年12月、つまり今回の決算情報は2020年の一年間だったわけで、コロナ状況下で不動産業として増収増益は立派な業績だと思います。
コーポレートファンディングの状況
クラウドファンディングと比べるために、LSC社のコーポレートファンディング(不動産投資及び不動産賃貸)の状況を紹介します。
LSC社における売上高の大半を占めるのは、コーポレートファンディングのうち不動産投資で、2020年12月期売上高の約170億円のうち、8割以上にあたる約146億円を占めます。
また不動産賃貸がその次に多く約20億円。コーポレートファンディング全体で、売上高の約98%を占める計算になります。
クラウドファンディングの状況
2020年の上期については、新型コロナによる不動産取引の停滞や緊急融資制度の影響で、上半期では案件の組成が減ったものの、下半期は順調に案件組成がおこなわれたとのこと。
確かに2020年の上期は、LSC社がクラウドファンディングの案件組成を抑えるという発表をしていました。
クラウドファンディングについては、LSC社の売上高の中で2%を占めるのみ。
他にコーポレートファンディングという稼ぎ頭があるからこそ、新型コロナで不確実性が高まった時には案件組成を抑えられる(売上高が落ちても気にならない)という側面もあり、こういった点からもオーナーズブックの安定性は高いと言えそうです。
今後の展開について
今後の展開について、LSC社は以下のような発表をしています。
クラウドファンディング事業(OwnersBook)への個人投資家の投資意欲は依然として高く、5億円以上の案件も複数組成し、募集が完了している。
貸付型については、いわゆるコロナ融資も一巡し、企業の資金需要も回復してきている。また、上記投資家需要を踏まえた大型案件の組成や、ノンリコ―ス型案件などの商品の多様化を図り、事業を拡大していく。
エクイティ型については、国内案件・海外案件問わず、また当社保有物件のオフバランス化も検討し、案件組成の安定化を目指す。さらに、*STO(Security Token Offering)はクラウドファンディング市場を拡大させる重要な仕組みと考え、実用に向けた研究を重ねていく。
赤字の部分の前半部、ノンリコースローンは色々良くない思い出があるのでともかく、きちんと査定された大型案件は投資しやすさの面からも大歓迎です。
LSC社の「ミッション」には、不動産投資領域の上にFintech領域(オーナーズブック)が位置しており、今後の展開に力を入れているということでしょうか。楽しみです。
またSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)は、不動産投資型クラウドファンディングの「大家.com」でも導入を予定している「運用期間中であっても出資分を譲渡することが可能になる」仕組み。
オーナーズブックで導入されれば、一層のクラウドファンディングの発展に寄与することが期待されます。