投資商品の手数料を気にする人は多く、私ももちろんその一人です。
しかし一方で、投資商品の手数料を必要以上に重視する、あるいは絶対視するのはまちがいだと思っています。今回はそんな話題の紹介です。
<目次>
手数料はリターンを低下させる。その理屈なら、
手数料を重視する意見の論拠として、良く出てくるのは
「手数料はリターンを低下させる。だから手数料は重要である」
というものです。
この理論にはまちがいはありません。ただし手数料「のみ」を重視するのはまちがいです。
この論拠であれば、重視すべきは手数料ではなく、手数料を引いた後に残るリターンで比べなければなりません。
あくまでも例ですが、ある投資期間において「手数料0.1%リターン3%」の商品と、「手数料1%リターン5%」の商品なら、投資すべきはどちらかということです。
手数料は「対価」にすぎない
もう一つの観点は、手数料はサービスの対価である、ということです。
私の投資している投資商品で言えば、例えばロボットアドバイザーは、国際分散投資にかかるドル転やリバランス等の手順を簡略化・自動化しています。
融資型のクラウドファンディングは、個人が間接的に貸金業を営むことができるサービスを提供し、不動産投資型のクラウドファンディングは、間接的な小口不動産投資をネットで完結することができます。
これらは個人が独力で行うことが難しい(あるいは手間がかかる)事を、代行してやってくれるというサービスであり、サービスである以上は対価があってしかるべきです。
例えば、ロボアドと同じETFを手動で構成することは可能ですし、ドル転やリバランスも手動で行おうとすれば可能です。ただしそのためには手間と時間、知識が必要です。
融資型クラウドファンディングの場合はさらに顕著で、もし個人が貸付を行おうとした場合、投資家それぞれが貸金業の登録を受ける必要があり、現実的ではありません。
手間でも自分でやる事を選ぶか、簡略化されたサービスを選ぶかは投資家の判断しだいであり、手数料が妥当なものであれば敵視するべきではなく、当然支払うべきサービスの対価だと考えています。
とは言え、比較は大事
手数料はサービスの対価ですが、それは「妥当な」手数料の場合に限ります。
意味のない手数料を支払う必要はありません。
例えば株式をネット上で売買すれば手数料が安くなるところ、対面で高い手数料を払って取引をする必要はないですし、簡単に乗り換えられる投資信託において、わざわざ高い手数料の商品を選ぶこともありません。
同じ効用をもたらすなら、手数料を比較してより安いものを選んでいく、という姿勢は必要だと思います。
一方でこのような姿勢は拡大解釈して良いものではなく、例えばロボットアドバイザーと手動でETFを構成する場合のように、効用(手間や時間や知識)が異なるものであれば、各人の状況しだいで判断すればいいだけのことだと思います。
実際に私は、現状でETFを手動構成する手間はかけられない(その分の時間は他に充てたい)と考えたため、ロボットアドバイザーを選びました。これもまた、一つの選択肢でしょう。
投資のハードルを下げることが重要
最後に一つ、見落とされがちな観点があると考えます。
それは、「投資は特別なものでも、尊いものでもない」ということです。
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今後の世界や日本を考えれば、誰もができる限り資産構築を検討していくべきだと思います。
投資は資産構築の有力なツールですが、唯一のツールではありませんし、絶対的なツールでもありません。資産構築は収入増加、支出抑制、資産運用の三本柱、どれが抜けても成り立たないものだと思うからです。
「投資は大人のためのおもちゃ箱」だというのが私の持論ですが、おもちゃ遊びなのですからやりたければやる、やりたくなくなればやめる、程度でも十分でしょう。
おもちゃ遊びに本気になるのも自由ですが、それを他人にまで押し付けるのは明らかにまちがいです。
「誰もが手数料の最小化や効率の最大化を図るべき、でなければ投資をすべきではない」
という考え方は投資のハードルを上げるだけの言動で、ある意味で投資経験者の傲慢に過ぎません。
そういう考え方は、「誰もが適切な資産構築に向き合い、検討していくべき」という世の中の流れに逆行したものであると、私は考えます。