今回はクラウドファンディングの話のみならず、世の中一般に共通することに関する雑記です。
ちょっと苦言を呈するところもありますが、そのあたりはご了承のほどを。
<目次>
商売の一般論
どんなビジネスでも同じように、サービスが始まったその瞬間には顧客は存在していません(承継などの例外は除くとして)。
そこから新規顧客を獲得し、獲得した顧客にサービスを利用してもらい、満足を与えてリピーターになってもらうことが必要。
しかしリピーターだけで商売が成立するかと言えば、もちろんそんなわけはなく。
特にビジネスの拡大を企図しているのであれば、新規顧客には大いに流入していただく必要がありますし、ビジネスの拡大をそこまで企図していない場合でも、顧客の自然減を賄うだけの新規顧客流入は当然必要です。
つまり営業者は新規顧客向けの施策と、既存顧客向けの施策を両方行っていく必要があり、どちらにどれだけのウェイトを割くかはその事業者の方針や置かれている状況によるところが大きくなります。
と、まあこんなことは商売の基礎であり言うまでもないのですが、新規顧客か既存顧客かというバランスはケースバイケースであり難しいという一般論です。
クラウドファンディングの性質
次に一般論の範囲をもう少し縮め、クラウドファンディング投資の場合を例にとってみます。
クラウドファンディング投資は「対価を支払って商品やサービスを受け取る」というものではなく、「インカムのために資産を適切なリスクに晒す」という性質があります。
このためクラウドファンディング投資における新規顧客と既存顧客への注力のバランスは、他の消費財やサービスとは性質が異なると考えます。
なぜかと言えば、クラウドファンディングにおける商品である投資案件が順調である限り、既存顧客が離脱する可能性というのは一般的な財やサービスに比べて少ない(*)と推測されるからです。
*逆に、投資家の資金に対して案件の供給が足りず、抽選倍率が高すぎて既存顧客が離脱するというケースはあります。
さらに一般的に、投資案件を扱う事業者は事業規模の拡大を目的としていることが多いです。
これらのことから考えると、(クラウドファンディングに限りませんが)投資商品を扱う営業者はどちらかと言えば新規顧客に注力する傾向がある、という性質があるというのが結論です。
プロスペクト理論は理解しますが・・・
心理関連の言葉に「プロスペクト理論」というのがあります。
これは「損をしたくない」という当たり前の気持ちが、自分自身の行動や選択に影響を与えること。
コイン投げやルーレットのように確率に支配されるゲームにおいて、人間は得や損を期待値では考えず損失を回避する方向に選択を取りやすいのは、この理論により説明できます。
特に日本人の場合は損をすることに敏感な国民性がゆえ、この理論に当てはまるケースも多いことでしょう。
なので例えば自分が既存顧客であった場合、新規顧客限定のキャンペーンが張られた時にプロスペクト理論が働き、「キャンペーンによる得が得られない=損だ」と考えることは十分に考えられます。
とは言え、投資家までこの心理に囚われてたら世話がありません。
プロスペクト理論によるバイアスは、投資においては損失を生む大敵です。
もし先ほどのようなケースで、本当に損だと考え悪印象を持つようなことがあるのなら、そのバイアスは早めに修正しておいた方がいいと思います。
まとめ:ルールは利用するもの
どんなサービスでも、新規顧客の開拓と既存顧客のつなぎ止めは難しいバランス。
そしてこれまで説明してきた通り、投資商品を扱う営業者においては新規顧客の開拓側にリソースが割かれるのも世の常で、「そういうもの」と割り切ることも必要でしょう。
これが携帯のように寡占されてて選択肢がないのならさておき、そうでなければ選ぶ自由はユーザ側にあります。
投資家側にはいつでも「投資しない」という自由がある以上、その自由の行使以上に悪口を言ったり失礼なクレームを入れたりする権利はありません。それは単なるタチの悪いクレーマーやカスハラの類です。
ちなみにもし自覚がないのなら、「犯罪者は自分を犯罪者と白状しない」と言う言葉も同時に噛みしめるべきですね(黒ウサギモード)。
そして私が言うことでもないのですが、営業者側もそういったノイズに惑わされることなく様々なキャンペーン等を行っていただけますようお願いします。
それが私に利益があるものなら嬉しいですし、そうでなくともルールはなんとかして利用させてもらいます。