不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」を運営する「グローベルス社」の親会社、「ミライノベート社」が合併されることになりました。
今回はこの話題を中心に、関係する周囲の状況を簡単にまとめてみます。
<目次>
ミライノベート社の合併
不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」の運営会社は「グローベルス社」。
そのグローベルスの親会社である「ミライノベート社」が今回、東証スタンダードに上場する「Jトラスト社」に合併されることになりました。
なおミライノベート社も東証スタンダード上場なので、上場会社同士の合併ということになります。
(プレスリリース)
mirainovate.co.jp
大家.comの運営そのものに大きな影響はないでしょうが、大家.comで行われている株主優待は変更されます。
実際にプレスリリースも出ていますので、投資家の方は確認をしておいた方がいいでしょう。
また合併に伴いしばらくはゴタゴタするでしょうし、大家.comから一時的に案件が出なくなる可能性もあると思われます。
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買収合併の背景
今回の買収合併ですが、もともとミライノベート社にはJトラスト社と関係がありました。
Jトラスト代表取締役である藤澤氏の個人資産会社「NLHD社」が、ミライノベートの筆頭株主です。
ミライノベートは太陽光と不動産事業、Jトラストは金融業の他不動産業も行っていますので、お互いの事業領域には重なるところも多く、それが今回の合併の一因になったと思われます。
ところでNLHD社と言えば、色々と問題を起こしたmaneoの株を買って実質支配し、同時にJトラスト社の子会社である保証会社や債権回収会社がmaneo遅延案件の解決に乗り出したこともあります。
遅延案件の数は多くまだ全ては解決していませんが、一部案件について進捗があるのは確かです。
SAMURAI FUNDが傘下にあったことも
先ほど話にあがったmaneoは、問題が発生した後にSAMURAI FUNDという融資型クラウドファンディングの事業者と提携を結んでいます。
この時のSAMURAI FUNDの運営会社「SAMURAI証券」は、後にJトラストの完全子会社となるNexus Bank社(旧社名はSAMURAI&J PARTNERS社)でした。
なおその後、2021年6月の時点でSAMURAI証券の親会社「SAMURAI FINANCIAL HOLDINGS社」は、MBOにより独立していますので現在はJトラストやmaneoとは無関係になっています。
・連結子会社の異動(株式譲渡)及び特別利益の計上に関するお知らせ(Nexus Bank・2021年6月)
まとめと今後の予測
色々まとめると、
・Jトラスト社(及び藤澤氏の個人資産会社NLHD社)は、かつて問題の起きたmaneoを買収、その資産を手に入れる代わりに遅延問題の処理を継続している
・maneoがサービスを停止した後、一部機能はJトラスト社傘下にあったSAMURAI FUNDに引き継がれたものの、その後MBOにより無関係になった
・Jトラストは今回、不動産投資型クラウドファンディングの「大家.com」運営親会社「ミライノベート社」を買収合併
ということになります。
クラウドファンディングの視点から考えると、Jトラストは融資型クラウドファンディングを手放し、不動産投資型クラウドファンディングを手に入れたことになります。
不動産投資型はJトラストの不動産業と相性がいい一方、Jトラストには金融業もあります。
融資型においては金融商品の組成・販売に際して利害関係のケアが重要であり、JトラストがSAMURAI FUNDを手放したのもこのあたりの難しさが理由の一つ。
Jトラスト及び関係会社が再び融資型の界隈に顔を見せることがあるのか、私としてはその点に興味を持っています。