金融・不動産のプロが提供する融資型クラウドファンディング、「COMMOSUS(コモサス)」の話題です。
募集中の抽選式ファンドの内容と、リスクの考え方について紹介します。
<目次>
大型ファンド「恵比寿プロジェクト」
コモサスでは、恵比寿の物件を対象とした大型ファンドが募集中です。
・恵比寿プロジェクト(COMMOSUSファンド149号)
募集期間:~12/12 12:00(抽選式・後入金)
予定年利:7%
運用期間:9ヶ月
募集金額:7億3,000万円
保全など:対象土地・建物に対する根抵当第一順位 LTV71.3%、貸付先代表者による連帯保証、リコースローン

本ファンドの貸付先は東京都千代田区丸の内に本社のある、株式会社アーク。不動産の買取・開発・販売を中心に事業展開を行っていると説明にあります。
取り扱う不動産は東京都渋谷区恵比寿にある共同住宅で、取得後に最終的には更地にして売却するというストーリーになっています。
(ファンド情報ではバリューアップを図るという文言もあるので、まずは現状で運用しつつ将来的に更地ということかもしれません)
アーク社は2015年設立の不動産事業者で、直近3期の売上は約9億円(2023年5月期)→約11億円(2024年5月期)→約16億(2025年5月期)と推移。直近期では関連会社の合併に伴う特損で赤字になっていますが、営業利益は堅調とのこと。
一方で総資産は約68億円で純資産は約9,000万円、自己資本比率が1%と脆弱な点は注意が必要です。ただし自己資本比率が低い理由はここ数年で売上を大きく伸ばしたことの他、直近期の特損も影響していると考えられますのでそこまで大きな問題ではないかもしれません。

担保は取得予定の土地建物で、LTVは71.3%。
ただし今回の不動産は最終的に建物を解体する予定のため、不動産評価額には建物を含まず土地のみの評価です。
貸付先の会社
今回の貸付先の公式サイトには代表者名が出ていませんが、会員限定情報には掲載あり、また調べれば分かることです。
アーク社の代表は様々な会社を設立し、その中にはゴルフスクールもありました。
会社の財務情報はそれほど堅くないため、もしこのファンドが匿名組合型の不動産投資型であれば事業者リスクを重要視して検討する必要があります。
本ファンドのような融資型でも、リコースローンの場合は事業者リスクを考慮に入れる必要があります(*)が、担保も重要となります。渋谷区恵比寿の立地でLTV71%ですから、万が一の場合でも時間はかかるかもしれませんが弁済は可能だと考えます。
*ノンリコースローンならほぼ担保のみを考慮、リコースローンの場合は対象事業が焦げ付いても貸付先が弁済できればOKなので事業者リスクあり
不動産を対象にしたファンドであっても、融資型と不動産投資型ではリスクの考え方が異なります。
ケースバイケースではありますが、どちらかと言えば事業者リスクに関わらず担保売却で弁済可能な融資型ファンドの方が安全、という場合が多いでしょう。

