今回は、投資商品の常識ではあまり考えられない案件を紹介します。
リターンが金銭だけではなく、幅広い商品が(有形であれ無形であれ)投資リターンとなる、クラウドファンディングならではの案件だと思います。
<目次>
投資商品の基本と、その前提
投資商品は例外はあるにせよ、「誰もが応募できる」ものであることが基本です。
IPO等、抽選が当選しないこともあるでしょうし、条件が合わずに投資できないということもあるでしょう。富裕層向けなど、クローズドの案件もあります。
しかし誰もが見られるオープン案件で、投資できる人に条件を付けているというのは、あまり見たことがありません。
このような基本が成り立つ前提は、「同じ商品に投資をした場合のリターンが公平であること」と、「リターンを供給する側が、投資家を区別する必要がないこと」だと思います。
つまりこの条件が崩れれば、オープン案件にも関わらず投資家を限定することもあり得るということです。今回の案件が、まさにそれにあたります。
篠栗町まちづくりファンド#1
今回紹介する「オープンなのに投資できる人が限定されている」案件は、貸付投資のFunds(ファンズ)が募集する「篠栗町まちづくりファンド#1」です。
・篠栗町まちづくりファンド#1
募集条件:12/17 19:00~(福岡県居住者限定)
12/22 15:00~(福岡県以外の九州居住者限定)
予定年利:2.2%
運用期間:6ヶ月
募集金額:5,000万円
保全など:貸付先に対するリコースローン
募集条件を見て分かる通り、投資できる条件が12/17からは福岡県居住者限定、その後も九州居住者に限定されています。
なぜこんな条件で募集を行うのか、それはこの案件に投資した場合の「リターンの公平さ」と、貸付先(=リターン供給元)に「投資家の属性を区別したい理由」があるからです。
案件の内容から、その理由を説明します。
投資家の属性を区別したい理由
今回の貸付先は、1951年にの創立した九州の地場不動産会社「三好不動産」。
福岡都市圏を中心として、3万7千戸超の賃貸物件を管理する不動産会社です。
三好不動産は今後、これまで手掛けていなかったデベロッパー事業を積極的に進めていく方針を掲げ、その第1号となるのが福岡県糟屋郡篠栗町の「プライムタウン オーサム 篠栗駅」プロジェクト。
事業主は株式会社FOMAで、三好不動産は共同事業者として参画する形を取っています。
(開発概略図。面積は8000坪、104区画)
今回のファンドは、この宅地造成開発事業を含む不動産事業の事業資金に充てられると同時、三好不動産にとってはファンドを利用して会社の知名度、及び開発事業の知名度を上げる目的があると推測されます。
会社の知名度や開発事業の知名度を高めるためには、三好不動産の地場である福岡県(ついで、九州)にリソースを集中する必要があり、ここに事業者側の「投資家の属性を区別したい理由」が存在します。
投資した場合のリターンの公平さ
また金銭的リターンは全ての投資家に公平ですが、特典については福岡県(九州)以外の投資家には公平とは言えないものです。
投資により抽選で選ばれる特典の、「ファスティング旅館 若杉屋」、「茶房わらび野」、そして「森林セラピーツアー「森の案内人」」のいずれもが、実施場所が篠栗町に限定されているため、遠方の投資家はアクセスがしにくく、結果として特典を受け取ることが難しくなります。
結果として福岡県(九州)以外の投資家が投資をする利点は少なく、投資家の属性を福岡県(九州)に絞ることは、一定の合理性があると考えます。
クラウドファンディングならでは
オープンな案件にかかわらず、投資する人を限定するのは、ご当地もののクラウドファンディングならではの設定。
世の中たいていそんなものですが、投資案件にしても「自分向き」「自分には不向き」があって当然なのですから、文句を言うのは筋違い。自分向きの案件を選んで投資していけばいいだけのことです。
以前には京都ご当地ものの案件に投資し、高級ホテルや優雅な(?)アフタヌーンティを楽しんだこともあります。
これからも様々なご当地ファンドの登場を期待しています。
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