今回は「航路を守れ(原題:Stay the Course)」という言葉について、少し雑記を書いてみようと思います。
この言葉は「インデックスファンドの父」、バンガード創設者の著書の名前に出てきます。
<目次>
「航路を守れ」
「航路を守れ バンガードとインデックス革命の物語」という書籍の内容については、すでにある多くの解説に付け加えることはありません。
著者ボーグルの主張である、「長期・分散・低コストのインデックス運用は、大多数のアクティブ運用ファンドに勝つ」についても、今さら付け加えることなくその通りのことだと思います。
今回の雑記で取り上げたい内容は、「航路を守れ」という理念そのものについてです。
インデックスがどう、アクティブがどうという投資手法の話ではありませんし、なおのこと投資手法の優劣を議論するつもりはありませんので、その点はご了承いただければと思います。
重要な、しかし一つの概念
「航路を守れ」というのは、とても大事な理念です。
しかし同時に、それは一つの理念に過ぎないと考えます。
船だって、嵐があれば航路を変えます。飛行機だって台風に直接突っ込むことはありません。
自分の進むべき道と目的地が決まっていれば、例えブレてもいい。どんな航路をたどっても、目的地にたどり着けばそれが正解の航路。
航路とは決定されたものではなく可変、むしろ結果論なのだと考えれば、自縄自縛になることもないですし、肩の力も抜けるというものです。
人生が常時順風満帆という人は、そうそういません。風が強い日も、波が高い日もあるでしょう。
そういった苦難をやり過ごすために、船には帆があり、舵があるものだと思っています。
航路は変わるもの、方針だって変わって当然です。変わることを前提とするからこそ、「航路を守れ」という言葉は一つの理念に過ぎないと思うわけです。
目的地すら可変
さらに言えば最終的な目的地にしても、人生の変遷に応じて変わっていく可能性があります。
天下国家の政ならいざ知らず、個人の人生目的は変わって当然だし、むしろ変わらないことは褒め言葉でもなんでもなく、退化ですらあると思います。
人生の究極の目的、守らなければいけない唯一の目標があるとしたら、それは「どうにかして幸せになること」くらいのシンプルなものではないでしょうか。
どんなに紆余曲折を辿っても、目的地にたどり着いた後に「ほら、航路は正しかったし守ったでしょう?」とドヤ顔を決めれば、それで格好は付くというものです。
私も目的地へたどり着くために「自分会社」という考え方を実践していますが、その中身は良く言えば変化し続けており、悪く言えばブレまくっています。
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しかし私は、ブレてもいいと思ってます。私は凡人ですから。
インデックスファンドの生みの親が偉大だからこそ、彼の言葉通り航路を守ることが自分もでき、やり遂げられると信じてしまうことは、自分の人生に薬になるどころか、毒になってしまうかもしれないと考えます。
守らぬも、航路。
一個人が「航路を守れ」という言葉に対する態度としては、お守り程度に思っておくべきだと思います。
会社や組織を背負っているのであれば、守らなければならない理念もあるでしょうから、この限りではありませんが。
個人としては「航路を守れたらいいなー」くらいの参考にとどめるならともかく、「できる」とか「やれる」とか思い込んでしまうことは、緊張の糸を必要以上に引き絞る事になりかねません。
人生の目的地すら変わる可能性があるのですから、航路なんてなおさら自由。航路に固執するのは尊い行為ではなく、それでは「Stay the Course(航路を守れ)」ではなく、単なる「Rush the Course(それ行け突っ込め猪突猛進)」です。
少なくとも私は、投資に限らず人生において有能ではありません。何度も目的地を変えましたし、航路もブレまくっています。
それでも結果として資産を築き、FIREできました。つまりある程度は正解だったわけです(ドヤ
とまあ、それはネタとして。
投資というのは資産構築の一手段にしか過ぎませんから、致命傷を負わない程度に適切に、かつ気負わず適当にやっていけばいいのではないでしょうか。
もちろんその中には航路を守るという選択肢もあり、守らないという選択肢もある。そのどちらも本人が納得しているのなら優劣はなく、比較する必要も議論する有用性もないことだと思います。