今回は、リタイアした「後」の仮定の話になります。
私は「ゆるリタイア」を実践していますので、リタイアの時期については明言していません。
と言いますか、ケセラセラで考えてもいません。5年後かもしれませんし、明日かもしれません。
しかし、そのためのシミュレーションは行っています。今回はそんな話題となります。
<目次>
ゆるリタイアとは?
先に、私が日本で初めて提唱した(*)「ゆるリタイア」について、簡単に紹介します。
(*当社調べ)
ゆるリタイアは、FIRE(経済的独立と早期退職)をベースとした考えです。
実際、私もとある事情によりFIREを志し、色々なことを調べました。今の私の資産構築は、FIREを志したことから始まっていると言っても過言ではありません。
そしてFIREを志していくうちに、FIREの亜流の一つである「ゆるリタイア」を考え付きました。
これは、本業・副業・投資・節約を組み合わせて資産を構築する一方、会社における「居心地の良い立場・業務」も同時に作っていこうという考え方です。
英語の慣用句にある「fuck-you money(*)」にも似ていますが、そこまで先鋭的になりたいわけではありません。
(*)仕事の上で気に食わないことがあれば、いつでも"fuck you"と言い放って仕事を辞められるだけのお金を持つこと
私が提唱・実践しているゆるリタイアの定義とは、次のようなものです。
資産構築を継続的に行い、会社を辞めたとしても何とかなる資産を持つ。
その上で、居心地の良い場所でそこそこ仕事をして給与をもらい、その場所が奪われそうになったら仕事を「わざと失敗する」ことも含めてうまく立ち回り、最後のカードとして退職届も懐に秘めて交渉を行う。
大変ですが、得られるものも多いです
ゆるリタイアはFIREと違い、多方面作戦を行う必要があります。
ただ単にFIREをするだけなら、ともかく資産構築に邁進していけばいいでしょう。
(「ただ単に」と書きましたが、それが難しいのはもちろん承知しています)
ゆるリタイアは資産構築に邁進する一方、振り向ける力の一部を、会社内での居場所を作ることにも使います。
組織としての問題点を突いたり、人の心理を利用したり、ありとあらゆる使える手段で会社内の立ち位置を調整し、自分の業務をやりやすく、居心地良くしていきます。
労働収入のみに頼ることは危険、というのは良く言われることで、特にこれからはその通りでしょう。
しかし同時に、副業や投資のみに頼ることも、労働収入のみに頼ることと同じくらい(あるいはそれ以上に)危険だと思います。
本業、副業、投資、節約、どれもほどほどに行い、状況がどのように変わっても対応でき、家計を守ることのできる能力。
これからを考えた時、それが最も優れた能力なのではないかと考えています。
こう考えるとFIREは一意専心型、スペシャリストの戦略。そしてゆるリタイアは何でも屋、ジェネラリストの選択と言えるのかもしれません。
リタイア後の税制
今回消えた懸念点というのは、リタイア後の保険料や国民年金などに関することです。
リタイア後の収入源を投資+副業と仮定すると、収入から差し引かれる税や保険料は、「国民年金・国民健康保険料・所得税・住民税」といったところが主になると思います。
このうち、所得税は基本的に源泉徴収されますので一旦除外、国民年金も色々意見はありますが、基本的には「掛けておいた方が得になる(長生きリスクに備える)」ものだと思うので除外します。
残った国民年金保険料や住民税は課税所得によって変わってきますが、実は私のねぐらにしている京都市は、なかなか国民健康保険料が高かったりします。
例えばリタイア後の課税所得を200万円とすると、国民健康保険料は年額411,420円。
これに住民税(ざっくり10%で計算)+国民年金(2人分×12ヶ月)を足しますと、100万円くらい社会保険料が引かれているわけです。
なので、リタイア後には国民健康保険料の安い場所に引っ越す、というのも一つの選択肢かもしれません。お隣の市に移っただけで、実はけっこう安くなったりしますし。
*課税所得は、所得(収入-経費)から社会保険料等が控除されて計算されます。
課税所得から社会保険料が引かれるわけではありませんので、200万円の課税所得が残っていれば、「結果的に」100万円くらい引かれている、という言い方が正しいでしょう。
含み損という武器
実際にリタイア後に課税所得200万円になるかどうかはさておき、200万円とすると上記の通り、社会保険料等で100万円くらいは支払う計算になります。
ここで私には、クラウドファンディング投資における遅延案件が遺憾ながら多くあります。
それら全てが無価値になるということはないでしょうが、遅延案件の額は1000万円以上。
その中には、遺憾ながら(二度目)全損、あるいは大部分が毀損すると思われる案件もあります。
クラウドファンディングはまだ新しいだけに、遅延案件に対する対応法が確立されているとは言えず、遅延案件が片付くには長い時間が必要なものもあります。
それなら継続性の原則に基づき、投資家側で貸倒の処理をすることも、一定程度は認められると思いつきました。
貸倒処理を順次行うことで、少なくとも2~3年のあいだ、課税所得はほぼゼロ近くになります。
そうなると、税金などの負担はどうなるか。
国民健康保険料は年額117,820円、住民税はほぼゼロになり、国民年金も含めての年間社会保険料は約50万円と半減します。
さらに、課税所得がほぼゼロなら調整後所得税もゼロ。つまりクラウドファンディングから源泉徴収される20%強の所得税もほぼ全額返ってくることになります。
結果として200万円の損出しは、投資のインカムゲインが持続している状態で、約50万円(25%)の社会保険料抑制と20%の所得税還付、あわせて45%の還付効果になるわけです。
資産もインカムゲインもあるのに、税制上や統計上では住民税非課税世帯(≒貧困層)になるというのも奇妙な話ですが、それがルールであれば利用するのみです。
【まとめ】
課税所得200万円の場合→国民健康保険料 約41万円+住民税 約20万円+国民年金 約40万円=負担額 約100万円
貸倒処理を200万行い、課税所得ゼロの場合→国民年金保険料 約12万円+住民税 ゼロ+国民年金 約40万円-所得税還付 約40万円=負担額 約12万円
雑所得(総合課税)も使いよう
クラウドファンディングの所得は、雑所得として給与所得などと総合課税されます。
総合課税の税率は、課税所得の部分ごとに以下のような累進課税となっています。
〜195万円 5%
195〜330万円 10%
330〜695万円 20%
695〜900万円 23%
900〜1,800万円 33%
1,800~4,000万円 40%
4,000万円~ 45%
これに対し、株式等の譲渡益に対する課税は20%+復興特別所得税。
なので総合課税になる雑所得は不利、などと言われる場合もあります(そして往々にして、それは正しいです)が、目線を変えてみれば総合課税も使いようです。
所得とは、収入マイナス経費のこと。
インカムゲインの収入をきっちり確保した上で、ブログ運営の経費を計上したり、損失繰り入れを行うなどで課税所得を減らせば、総合課税の税負担が分離課税より軽くなることも十分にあり得ます。
いつ制度が変わるか分かりませんが、サラリーマンである今現在税や保険料負担と比べれば、低所得者にはかなり優しい制度になっているな、という印象を受けました。
また、自営業者の所得把握率がサラリーマンより低い(いわゆるクロヨン)ということも、最近では実感してきています。
リタイア後の懸念事項であった税金問題も、これで解決。
基本となる考え方は分かりましたので、制度が多少変わっても追随していくことはできそうです。